第113話  世界は変わる

エピソード文字数 3,030文字

 ※


 聖奈が言うには、明日。というか今日の十時には出かけなくちゃならんらしく、その時に皆の家まで平八さんが送ってくれるらしい。


 さて、ゆっくり寝ようか、その時に親父から電話が掛かってくる。

ちょっと電話。ごめん

 みんなに断っておきながら、大広間から出ると、廊下で親父と喋っていた。こほんと咳払いしてから、こちらも喋り出す。



 電話の内容はもちろん今回の騒動だな。


 一応、どういう話し合いになったのかを伝えると「黙っててごめん」と一言返してくる。


 まぁこの辺は平八さんが親父にも伝えたのだろう。

 既に解決済みだし、目くじら立てて怒る気もしなかった。 

でもな。一つだけいい訳させてくれ。


麻莉奈だって、平八だって、お前がミユマユちゃんと同じ高校に通ってたなんて、知らなかったらしいし、同じクラスの近い席だったとか、ありえねーって言ってたわ。

俺もそれ聞いて……マジで運命なんじゃねって思ったもん

 ミユマユちゃん? それはいい呼び名だな。
何も示し合わせず、麻莉奈ん家に喫茶店にバイトしにいった時もそう思ったが……すげー偶然の連続だ

 今思えば、おっぱい職人のツイッタを見てた時、平八さんもやたら白竹ママの事を聞いてたしな。


 白竹ママだって。やたら俺に対して優しかったし、怪しかったし……

どうせなら。ちゃんと教えててくれたら良かったのに。

もう少しで俺は……精神崩壊しそうになったんだけど

今回の件は本当に悪いと思ってる。

本来はちゃんと親が説明するべきイベントなのに、顔も出せないし……ダメ親ですまんな

 そうやって素直に謝られると、いつも俺が「もういい」って言うんだ。


 だけど内緒にしてた理由だが、親父にちゃんと直に聞いて納得は出来た。

だけど、今こうやってハッピーエンドだから納得できるけど、今度はもっと……子ども扱いしないでくれよ

そうか?

じゃあこれからは……お前が黒澤家の舵を取れよ。

いや、俺は何もそこまで……
どうせ白竹さん家を紹介する時に、言おうと思ってたんだよ。

平八から色々と聞いた。

お前なら十分やっていけるだろうってな。


今まで俺が入れ替わり体質の秘密を厳守させてきたが、これからお前が、お前達が己の判断で決めるんだ。

カミングアウトしてもいいと思う奴なら、ミユマユちゃんや聖奈ちゃんと良く相談してから決めろ。


心配するな。バックには俺達がいるんだ。お前達の好きにするといい。

そ、そんなことを急に言われても……
あと。お前に一つだけ言っておいてやるが……

ここからお前の人生。色々変わるから。良い方向にな

……そんな。大袈裟すぎだろ

今までずっと入れ替わり体質が嫌いだったろ?

だけどな……これからはきっと「良かった」そう思えるようになるから


お前はもう十分、入れ替わり体質として、つらい現実を目の当たりにしてきたと思う。

だけどこれからは世界は変わる

親父……

大袈裟でもなんでもねーよ。

あっ。昨日までと全然違うって……すぐに気づくはずだ。


 確かに。今でさえも分かるような気はする。

 

 ミユマユちゃんという新たな知り合いが増えて、これからの高校生活も楽しくなるだろうとは思うが……

 だからと言って……世界が変わるとか……


 

俺も麻莉奈も……ずっとこの時を……お前ら以上に楽しみにしてたんだぞ。


同じ入れ替わり体質なんだ。

遠慮はいらんから、際限なく仲良くすればいい。

 もちろんそのつもりだ。

 聖奈はもちろん、美優ちゃんや魔優も……ずっと仲良くありたい。

いいか? 蓮。お前は男なんだ。

ならば、外部からの脅威はお前が率先し、みんなを守りぬけ。

言われなくても分かってるさ。


 ※



 そこまでで会話が終わると、思った事を口に出していた。

なぁ、親父の仕事ってなんなんだよ。そろそろ教えてくれてもいいじゃないか?

お前にもいずれ手伝ってもらう事になる。

俺達みたいな人間しかできない仕事だよ

どんな仕事なのか聞いてるんだよ

今の仕事が落ち着いたら教えてやるよ。その時一緒についてきてもらう。


とにかく今は……麻莉奈ん家と仲良くやっとけ

 まぁそりゃそうなんだが。

 仕事の内容は教えやがらない。

 その時、ふっと思い出したことがあった。

 親父と白竹ママの関係だ。

そうそう。聞きたかったんだけどさ、

親父と白竹ママの関係ってなんだよ。

は? 何が?

 白竹ママが「恋人」とか言ってたからな。

 まぁ平八さんがウソだとも言ってたが……こりゃ本人に聞いた方がいいと思ったから。


 すると親父は「マジか?」と漏らしたと思えば「あんの野郎」とか言い出した。

あいつは子供にも吹いて回ってんのかよ。

あのな。蓮。そりゃあいつが勝手に言って回ってるだけで、そんな関係じゃねーから。


ってか気持ち悪いこと言うなよ!

 思いっきり全否定する親父であった。

 確かに、結婚しますとか言われても非常に困るし、心の準備なんてできてねーよ

あんなマッチョ野郎と何処でどうなって結婚するんだよ。
えっ? マッチョ?

え? あれ? お前しらねーのか?

あいつの男の姿。見たこと無いの? 

ない。と思う

 なんだか親父が電話の向こうで固まっている。

 そんな気がした。

蓮。今のことは内緒だ。絶対本人には言うなよ!
そこまで言うなら内緒にするけど……マッチョなの?

ああ、すっげー筋肉質のくっそ男だから。


昔はずっと男でさ「オラオラ」言ってたんだから。

俺はあいつのことを女として思ってないし。

マジかよ。想像できねー

 そうだったのか。

 ってかミユマユちゃんからも、白竹ママの男の姿という話題は聞いた事が無いからな。


 もしかして。この情報はとんでもなく機密情報なのでは。

あいつはな……かなり頭がぶっ飛んでるから。

特にマジキレだけはさせんなよ。本当にヤバイ奴だから

分かったよ。何となくそんな気はしてたから。

いいか? 今の事は誰にも言うなよ!

凛にも言うな。ってっか今すぐ忘れろ。

 何でいきなり焦ってんだよ。

 そんなに白竹ママの正体を知っちゃいけなかったのか?

まぁだけど、味方になりゃすげー頼もしいから。上手く付き合ってやってくれ

あ、すまん。切るぞ。じゃあな

みんなと、上手くやれよ。

おいっ!

 勝手に切れる電話に、スマホの持つ手がプルプルしだす。

 あんの野郎。言うだけ言って切りやがって。


 まぁいっか。いつものことだ。

 しかし。白竹ママの男の姿がマッチョだと?


 ぜ、全然想像できねーし、これから顔を合わせるたびに、吹きそうになるだろ?

――――――――――――――――――――――



…………

麗華。横になれ。約束だぞ。

お前はまだ絶対安静中なのだ。分かっておるのか?

あいつ。俺が電話に出れなかった事、一言も言ってこねーし。

昼間アホみたいに掛けてきて……きっとその時、凄い不安だったろうに。

……しょうがないではないか。

お前にも電話に出れない理由があるのだ。

はぁ……親である自信無くすわ。

今回ばかりは、自分の不甲斐なさにヘコむぜ。

麻莉奈や平八が上手くやってくれたのだろう?

あいつらに任せておけ。極度の変態野郎達だが、有事の時には頼りになる。

お前も変態野郎筆頭だろうが。

お前はお前で、一刻も早く身体を治せ。

このままでは家にも帰れぬぞ。

分かってるよ。だけどな……

こんな大事な日に、顔も出せないっていうのが……

ならば今はじっくり養生することだ。

元気になってから子供達に会いに行こうではないか。

ティナ……

蓮と凛か。美優も魔優も大きくなったであろうな。

私も……早く会いたいのう。

――――――――――――――――


次回 記念すべき一日 2

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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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