第2話 承認欲求というもの

文字数 678文字

人は誰しも承認欲求をというものを持っているという。
いやいや目立ちたくないんです、別に認められなくてもいいから、ひっそりと生きていければいいと思うんです、という人もいるだろう。
しかし、それすらも「ひっそり生きる」ことを「承認」されているという気がする。

書いたものが形になって報酬をいただくという仕事をしていると、確かにこの承認欲求は満たされる。よくも悪くも評判にならない方よりなった方がいいし、視聴率が取れたり、本が売れたり、レビューがよかったりすると、これはちょっと他では得難い幸せを感じる。

でも、それはよほどの売れっ子作家でなければ続かない。いや、売れっ子作家になればなったで、そのことが続くか? はたまた前作よりもいい結果になるか?など違ったプレッシャーもあるだろう。

私みたいな末端ライターだと、陽の当たる業績は本当にわずか。そのことをいつまでも引きずるのはカッコ悪いと思うので、ひっそりと過去の栄光という記憶の箱にしまっておく。でも、高揚感みたいなものは心の中に刻まれている。

次はなかなか来ない。勤勉じゃない私みたいな人間には特に。
とこ ろが、狭い狭い世界でなら、私みたいなものでも一番になれちゃう場所がある。これがヤバイ。
そこそこの承認欲求が満たされてしまうからだ。でも、そこにどっぷり浸かっても、キャリアには1ミリも貢献してはくれない。まずい。

居心地のいい場所があるというのは幸せなことだ。
だけど、もっと上を目指す気持ちがあるうちは、安住してはダメ。
トシをとればとるほど、踏み出す勇気が必要になる。
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