後編

文字数 432文字

 僕は山中に連れられ保健室に行き、保健の先生から、
「少し擦り傷が出来ているから消毒しとこうね。もし授業中気分が悪くなったりしたら、担任の先生に言いなさい」
と言われ、教室に戻った。そして、山中も僕も担任の先生から休み時間に呼び出され、こっぴどく怒られた。
「せめて、遊ぶのは、学校が終わってからにしなさい。朝は、ちゃんと時間までに学校に来ること! 遅刻はいけません!」
 失礼します、と僕たちが職員室を出る時、先生が、
「それにしても、秦野と山中が仲が良いなんて思わなかったなあ」
とつぶやくのが聞こえた。とんだ誤解だ。
 僕は山中と廊下を教室へ戻りながら、今日は朝から何も良いことのない一日だなあ、とため息をつきそうになった。でも僕を助けてくれた山中に悪いような気がして我慢した。今朝のことでよくわかった。こいつ、無愛想だけど、いいやつなんだ。
「山中、今日はありがとう」
 教室の手前で僕がそういうと、山中は振り向いて、
「今度から、学校の帰りに遊ぼうよ」
と無表情のまま言った。
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