【チャットノベル版】転生帰録──鵺が啼く空は虚ろ
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文字数 1,431文字
星弥(せいや)と私は体内にキクレー因子を持つ人間として経過観察の身でした
ただ、星弥(せいや)の方は早いうちに因子が活発ではなくなったので、普通の子どもと変わらない生活をしてきました
ですからお兄様もこのような事態は予想していなかったようで、今も科学・陰陽術の両方面で調べています
銀騎(しらき)研究所にあるものはどれも遺骸などから抽出したサンプルばかりで──
お願いします、ハル様、ライ。星弥(せいや)を助けてください!
(行くよな?)
全てお兄様が主導でなさっています
あいつは詮充郎(せんじゅうろう)の孫だろ?おれ達の敵だ
お前は今回、銀騎(しらき)の家に心を寄せすぎている
身内として生まれてしまったからある程度は仕方ないと思ってたけど、今のお前を見てると嫌な想像をしてしまう
(言い過ぎだ……)
……皓矢(こうや)、も敵とみなすと、誓います
でもそれとリンを疑うのは違うだろ!
何故、こんな責めるような言葉しか出ないのだろう。
これは永(はるか)の救援信号だってわかっている。
それでも、永(はるか)には前を向いて欲しい。俺達の導であって欲しい。
あ、ジジイには会わないからね!?役目が終わったらすぐ帰るからね!
いつも通り永(はるか)がおちゃらければ元通りだ。蕾生(らいお)は笑いながら少し泣いた。
永(はるか)はいつもそうやって俺達を鼓舞し続けてくれる。だから、踏ん張れる。
鈴心(すずね)が背中に向けて言った言葉も、もちろん届いている。
気にするなと改めて言う必要はない。
俺達はずっと仲間なのだから。
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作品お気に入り
唯 蕾生(ただ らいお)
15歳。男子高校生
怪力なのが悩みの種
九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿
周防 永(すおう はるか)
蕾生の幼馴染
九百年前の武将・英治親の転生した姿
御堂 鈴心(みどう すずね)
13歳。銀騎家に居候している少女
英治親の郎党・リンの転生した姿
永と蕾生には非協力
銀騎 星弥(しらき せいや)
16歳。高校一年生
銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹
鈴心を実の妹のように可愛がっている
永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする
銀騎 皓矢(しらき こうや)
28歳。銀騎研究所副所長
詮充郎の孫
銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)
74歳。銀騎研究所所長
およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した