掃除すべくは

文字数 670文字


私は掃除が苦手だ。

重い腰をあげて、荒れに荒れた部屋を片付ける事にした。
数日後には実家へ帰省する。
帰宅後にこの混沌とした部屋に帰ると思うと未来の自分が気の毒だから。

趣味の物やコレクション、それから大量の本を収めるべき部屋。
しかし今では、スーツケースや日用品、オフシーズンの洋服に、部屋干し中の洗濯物に埋もれている。

部屋を見まわして作戦を考える。
大きな汚れが有るわけではないが、床には埃が見えるので掃除機は必須。
しかし掃除機をかけるには、床が見えるようにせねば。

床に散らばる「どうしたら良いのかわからない物」たち。
自治体から届いた書類。
片方捜索中の靴下。
観葉植物用の土や肥料。(植物は枯れた)
ハンドメイド資材の残り物。

捨てても良いような、無いと困る時が来そうな、、、。
とってもやる気が削がれている。

そもそも掃除の本質とは、ゴミを捨て、汚れを取る事だろう。
調べたわけではないから自論だがね。

今後の人生に必要が否かの判断を、この部屋だけで何回要求されるのだろう。

はあ。考えていてもしょうがない。
母にもよく言われている。
とにかく「手を動かせ」と。

こうなったら、作戦もクソもない。
効率も見栄えもどうでも良い。

判断できない物は、判断できない物として居場所を作ってやる。
いつかその時が来るまで、部屋と人生の端に追いやっておく。

明らかなゴミだけ処分すれば、案外片付いた気分。
完璧とは言えなくても、理想とはかけ離れていても、これが私なのだから、仕方がない。

もしや部屋とは己を映す鏡なのでありましょうか。
鏡は曇る。
ときたま掃除して、磨いてやらねばならんようだね。

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