真正人を祝うつどい

文字数 1,064文字

「今年覚《さと》って真正人《しんせいじん》になったみなさん、おめでとうございます。心からお祝い申しあげます。

 未成人《みせい・じん》のうちは、自分のため人間のためお金のため、ワガママに暮らしてきたでしょう。
 しかしいまのみなさんは、地球のため、宇宙のため、生態系のため、将来のために、日々、責任をもって働いていることと思います。
 先輩のひとりとして、新たな仲間になったみなさんを歓迎します。

 いままで、かつてのわれわれを含め、人類が地球を破壊して将来を食いものにしてきました。
 人類はいま滅亡しつつあります。それだけならばただの自業自得でしょうが、われわれの母体、本体である地球までも巻き込んで迷惑をかけ破滅の途《みち》を進んでいます。
 われわれは深く反省し、悔い改め、生き方で示さねばなりません。
 われわれは、地球を生態系を保つガーディアンでなければなりません。そして、いままでのツケを返さねばなりません。

 残念ながらいまでも、多くの未成人たちが破壊活動を続けています。いまもこうして、化石燃料をムダ遣いしてゴミを大気中にポイ棄てして積んでいます。
 彼らの横暴を止めるのも大変なことです。
 わたくしも、彼らが破壊したぶんまで癒やし続け、そのそばからまた破壊される、このような不毛な人間社会には徒労感そして絶望感すら覚えることがあります。正直にいって、人間存在に絶望することはしょっちゅうです。
 しかし、われわれには生きものとして責務があります。われわれは、責任ある「おとな」だからです。
 実際に、こうして闘い続けなければ、絶滅するでしょう。選択肢なぞありません。

 この世界、大宇宙、地球、そして生態系の一部であること、一体であることを体得した覚った人、真正なる人、「おとな」として。
 いま、日々たゆまぬ暮らしを続けて生きていくのは決してラクなことではありません。われわれは、無理な努力をしなくとも暮らしていける、将来性のある社会に建て直し、最初から改めなければなりません。もちろんその営みもラクなことではありませんが、いまのわれわれがやらねばならぬこと、いまのわれわれにしかやれないことなのです。
 途方もないことのように思えるかもしれません。
 しかし、われわれは、独りではありません。真正人をふやし、仲間をふやし、ともに培っていくのです。いつか人類がみな目を覚ます、そのときを目指して。

 改めまして、真正人のみなさん、おめでとうございます。新たに仲間になったみなさんを心から歓迎します。一緒に闘って、生き抜いていきましょう!」
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