第28話  美神家のパーティ 4

エピソード文字数 3,364文字

じゃあちょっと行ってくる。

 すると聖奈は案内人を俺につけようとしたが、すぐそこだろ? と返した。

 そこまで手を使わなくていいと思いながら会場を出ると、先程のヘアサロン部屋に入っていく。



 ここで俺は先に衣装を決ようとした。何となくだがそっちの方が良さそうだし。

 すると、見つけたのが聖奈と同じ黒のパーティドレスだ。

これでお願いします

 ここからは目を瞑っておこう。というのも……

 パーティが始まってるから、スタイリストさんも暇なのか、こぞって俺に群がり出したのだ。


 全てお任せで。


 そう言うと、みんなが相談しながら俺に似合うベストな髪を結ってくれる。はず。

 

 ここでも綺麗な髪だと言われまくり。モテるでしょ? と言われまくる。

 

 これはきっとありがたい事なのだろうが……

 俺に限ってはあまり……恥ずかしいというか、何て言っていいか分からないんだ。

完成してから見てもいいですかね?

 なんと言うか、目の前に鏡があるのだが、多数いるスタイリストさんに囲まれながら自分を見るのが恥ずかしくなってきて……


 ついでにドレスも同じで、俺は完成してから目を開けることにした。

 


 髪を整えてもらい、今度は目を瞑ったまま衣裳部屋に案内される。

 チラっとだけドレスを見ると、ゴクっと喉を鳴らした後、お願いしますとスタイリストさん達に訴える。

 後は言われるがまま、指示に従うだけだ。


 ここからの作業は異常に早かった。数人で俺の仕立てをしてくれるんだから、あっという間に終わってしまう。そして目を開けてみると、聖奈と同じドレスを身に纏っている俺の姿があった。


 ふと横にあった鏡をみてみると……

 えらくゴージャスになってしまった自分の姿に驚いてしまう。

 スタイリストさん達からは大絶賛だった。

 そして俺の感想なんだが……まず自分一人では出来ない髪型だろうな~と思いつつ、楓蓮がこんな風に変身出来る事に驚いていた。


 いや~女って本当に化けるんだなと、改めて思った。

みなさんありがとうございました。行ってきます
 みなに深々とお辞儀すると、会場へ戻ろうとしたその時――

 ヘアサロンの部屋に入って来たのは、若い男とおっさんという連中だった。

 あれ? ここって女性専用じゃね?

 若い男は気がついたのか、焦ってすぐに部屋を出ようとする。

 だが、おっさんの方が意味が分かってないらしく、スタイリストさんを呼ぶ始末。


 俺はその横を通り過ぎようとした――その時、

あっ……
ん?

 一瞬若い男と目が合ったが、すぐに目を逸らす。

 そんな時、場違いのオッサンのほうが俺に対し「ちょっと待って」と言ってくる。

【天満晋一】

君。君も美神グループの関係者なのか?

いえ、私は……聖奈さんの友人というだけで……

【天満晋一】

綺麗な御仁だ。なぁ聡一郎

はい。とても素敵な方で……

 こりゃアレだ。こんな場所に来るヤツだったら……聖奈と同じような金持ちなんだろう。

 どっかの社長とか、そういう人種なのだろうな。


 まぁ別にこれ以上話す必要はないので、俺は一礼しドアを開けようとしたタイミングでドアが開いた。

あっ……楓蓮。


……うんうんうんうん! 素敵じゃない!

恥ずかしいから、聖奈と同じのにした。

ふふっまぁいいわ。

楓蓮。もっと胸を張って堂々としなさい。

 しかしなぁ……そうは言われてもすぐに実行できる人間じゃないんだよ。


 と、その時、さっきの若い男が聖奈の方を向いたと思えば……

聖奈。君の友達なのかい?

は? なんでアンタがいるのよ。

っていうか、ここは女性専用なんだけど

 この男は聖奈の知り合いなのか。

 聖奈と呼び捨てにする辺り……立場が上の人間なのかもしれない

【天満晋一】

聖奈ちゃん。この彼女と知り合いなのだろう?

どうかな? もしよかったら聡一郎に紹介してくれないか?

え?

 俺がハテナマークを召喚した以上に、聖奈とその男が驚いていた。

 

父さん……

【天満晋一】

どうせお前も聖奈ちゃんも……両家の縁談には興味ないのだろう?

ならば、聡一郎も別の女性を探さなくてはな。

 縁談? それは……聖奈とこの男ってことか?

あの、天満さん。

とにかく。ここの部屋は女性専用なので……出た方がよろしいかと

【天満晋一】

おお、そうだったか。すまないね。

 このおっさんに聖奈も敬語を使うところを見ると、かなり上の人間な気がする。

 そんでこの息子も、そんな感じだよな。


 聖奈の指示でヘアサロンを出たのはいいのだが……

 

 天満さん。聡一郎。悪いんだけど……

 彼女は誰にも紹介出来ない。諦めてもらえます?

聖奈……

呼び捨てにするなってアンタには何度も忠告したはず。

いい加減にしないと怒るわよ

 何となく聖奈の不機嫌オーラを察知すると、自然と手を引っ張った。

聖奈。も、もう行こう。みんな待ってるから。

そうね。という訳でじゃあね。

 最後だけは笑顔を見せる聖奈であった。

 ついでに俺の腕に絡み付いてくると、グイグイと寄ってくる。


 着慣れないドレスに足元に細心の注意を払いながら、俺達は会場へ戻るのだった。 

何だよあの男は。

聖奈を呼び捨てにするし、両家の縁談がどうのこうのって……気になるじゃねーか


 ※


 会場の扉が開くと、聖奈と俺はど真ん中のレッドカーペットをズカズカと歩いていく。

 人が注目しているのは先程味わってるから、あまり苦にはならない。そう思ったのだが……


 俺達を見る度に湧き上がる歓声。

 それはきっと聖奈の存在だと思っていた。しかし……



でしょ? この子。凄い綺麗でしょ? ふふっ

 得意げに話す聖奈に、詰め寄る人間でいっぱいになってしまう。

 そして、周囲の人間が聖奈との関係を聞くと「私の家族です」一点張り。

 人を掻き分けてようやく席に戻ってくると、ミユマユや華凛が俺の姿を見て笑顔を見せてくれる。

 だが、その後はみな聖奈がいなくなった事にとても心細かったという。

お姉ちゃんいなくなったら、どうしていいか分からなかったよ。

ごめんごめん。もうどこにも行かないから。

さぁ何でも食べてちょうだい。

せ、聖奈ちゃん。あの……さっきこの人達が……

 ミユマユが座る席の後ろにいた男女。見た感じは若そうにも見える二人組だった。

 すると俺や聖奈に一礼した後、すぐに聖奈が「あっ」と驚き顔を見せる。


そうそう。あんたたちを待ってたのよ。

どう? この子達なら楽勝でモデルになれるでしょ?

え?
モデル?

ウチの会社のファッションモデルとして、出て欲しいのよ。

どう? 楓蓮? ミユマユ? 写真撮るだけじゃない。いいでしょ?

聖奈さん……でも……

大丈夫。絶対いけるし、間違いなく有名人になれるわよ。


 聖奈の一言に先程の男女も「絶対いけます」と太鼓判を押す始末。

 その周りのギャラリーまで、賛同してしまうと、断れない雰囲気となった。

はわわわっ……

大丈夫よ美優。あんたたちの魅力は本当に凄いんだから。

 逃げられないといったミユマユや華凛まで俺に注目する。

 それは、俺に決断を委ねるってことらしい。

聖奈。それがお前の言ってた手伝うってことか?
うん。その解釈でもいいわっ
分かったよ。それならやる。
あんたがこんなに素直に言うなんて……ありがと楓蓮。

 先に言っておくが、これは日頃お前に借りを作りまくってるから、それのお返しだ。

 もちろん、これでチャラになったとは思わないが、お前の頼みなら何でも聞いてやりたい。

分かりました。私も役に立てるのなら、協力します
うんうん! 私も頑張りますです!
華凛ちゃんもやるのよ。いい?
うん!

 おいおい華凛までやらせるのかよ。

 ま、まぁいい。粗相のないように、それだけを心がけねば。

あなたたちはきっと、世界にも認められる美貌の持ち主だと確信しているわっ。


さすがにそれは言いすぎだろ。
ふふっ。その答えなんて、すぐに出るわよ。

 俺は聖奈の方がよっぽど認められると思うけどな。

 もちろんミユマキは世界でも通用しそうだけど。

 まぁいいか。何にせよ聖奈のお願いなのだ。

 俺はその要望に応えるまでだ。

 

 そりゃ恥ずかしいし、今でもどこかの穴に潜りたい衝動に駆られるが……


 聖奈の要望とあらばどんな事でも出来る。

 どうやら本当にそうらしい。と、俺はこの時気づいたんだ。

――――――――――――――


次回、美神家のパーティ 5 終


みんながソシャゲーのキャラに?

聖奈の顔の広さは凄まじい。

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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