第4話 相澤恋愛法律事務所

文字数 620文字

入学式も滞りなく終わり、すぐに部活動見学の時期がやってきた。
しかし、私は活気づく部活動勧誘をすり抜けて職員室へ向かう。

「相澤先生、アルバイト許可の用紙ください。」

相澤先生は、私のクラスの担任で吹奏楽部の顧問もしている。
恰幅の良い身体つきをしているが、人の良さが表情からにじみ出るタイプだ。
想像に違わず世話焼きで入学間もない新入生たちからも好かれている。

「おお。高梨か。この用紙にアルバイト先を書いておけよ。」

「あ。相澤先生。今書かなきゃだめですか?まだ、アルバイト先が決まってないので・・・。」

そう返答した私に対して、相澤先生は意味ありげにニヤリと笑いかけてきた。

「ほう・・・・。それならいい話があるぞ。」

「なんですか?」

「うちの妹が法律事務所をやっていてな、ちょうど人手が欲しいと言っているんだが高梨どうだ?」

「え!?いいんですか!」

「あはははは。びっくりするぐらい好感触だな。」

「だってだって、法律科の生徒にとって法律事務所でアルバイトなんて夢のようじゃないですか!」

「まぁ、アルバイトだから部屋の掃除やお茶出しなんかだけどな。でも、いい経験になると思うぞ。」


駅ビルの3Fの一角に間取りを取っている法律事務所。
入口にはチョークアートで「WELLCOME 相澤恋愛法律事務所」とおしゃれに描かれている。
パッと見は昭和レトロなコーヒー喫茶店といったところだろうか。

これが、わたしが相澤恋愛法律事務所にアルバイトをすることになったきっかけだ。
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