第1話

文字数 555文字

ふーーうっ...

なぜだろう。昔より広めの部屋に越したというのに、
部屋のドアを閉めていると息が詰まる。都会とは何故、こんなにも息苦しいのか。

私は、夜光虫のように夜は起き、昼は寝て、たまに朝から出掛け、安定した職にはつかず
結婚もせず、のんびりとフラフラと何に染まるでもなくただ、生きてるわけだ。

嫌いなのだ。属することも何かわかった気になって私をカテゴライズしたがる人種も。

豊かな国に生まれたこと豊かな親に恵まれたこと
感謝。
ただ、それだけが私をこうさせてくれる。良さでもあるし悪さでもある。

何者かになれると思い込んでいた10代
ひたすらに恋も夢も追いかけた20代
そして、模索途中の今日この頃。30半ば

「20代前半は、何しても可愛い。」

そのバイト先のお姉さんの言葉を信じていつの間にか
私もそのお姉さんと同い年くらいになってしまった。

あの人、元気にしてるかな・・・

タバコの煙がやけに美味い。
流石にこの歳になって貯金もないとは情けないので
ホステスのアルバイトを始めた

源氏名も本名も 『すず』
ラインの名前を変えなくてもいいからそれにした

入って1週間、もう既に欠勤中。

彼氏の「篠崎」とは、通っていた雑貨屋で出会った
小さな古びれた雑貨屋にいた彼は、彼が商品かと思うぐらい彼の方が輝いて見えた
そんな彼とも、同棲して1年が過ぎていた。



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