第3話死んだ生き物
文字数 365文字
あの船に大量に乗っていたのは確かに魚だ、でも死んだ魚だ。わざわざ見渡さなくともわかった。この海は汚染されているのだ。恐らくこの国はそのゴミ問題で苦しんでるのだろう、そうでなければ周りにプカプカと浮かんでいる魚の死骸にも説明はつかないだろう。この国は魚を主食にしているのだろうから海にゴミを撒くような意味のないようなことはしないのではないか?まるでそれは死んだ生き物に餌を撒くような意味のないことだ。少し考えればわかる。ならばこのゴミはどこから来たのだろうか?それは他国である。僕があの川からこの国の海へ来たようにゴミだっていつか流れつく。それを魚が食べて魚をダメにしているのだ。僕はその瞬間人間がとても憎くなった。この思いを表現することはできない、むしろ流されるまま、また新しい国へゴミと共に向かうことしか僕にはできないのである。