生き物だもの

いつもと変わらない午後だった。
一瞬、モニターの画面が乱れ 臨時ニュースが映し出された。
「平凡県日常区は大変な事態になっているようです！
現地の月並(つきなみ)さーん！つながっていますかー？」
『はい！こちら月並です！
どこからともなく いきなり巨大生物が出現し、地域住民は騒然となっています！
生物は なにやら低いうなり声のようなものを発し、小刻みに震えているようにも見えます。
なにが起ころうとしているのでしょう…
あ！！
少し離れたところにもう１体出現しました！！
こちらは甲高い音を発しているようです、鳴き声なのでしょうか？
アァ！初めの１体のほうに突進していきます！』

ズズｽﾞｳーンｯ！！

『ウォォ！ものすごい衝撃です！
付近が激しく揺れています！』
「月並さん！大丈夫ですかっ！」
『大丈夫です！中継を続けます！
あ！反撃でしょうか！最初の個体がくるくる横回転しながら２体目に突進していきます！』

ドゴォォォーンッ！！

『ウワァァァ！またもやすごい衝撃です！
激しく砂ぼこりが舞っています！
砂嵐のような状態で視界が乱れています！
……
ン？！うっすらと何か…
…アァ！！
大変です！！初めの２体よりもはるかに巨大な３体目が出現しましたっ！！』
「月並さん！これ以上は危険です！
避難してください！！」
『私は大丈夫です！このまま中継を続けます！！
アァ！３体目が空中に！！
上空から１体目に突進していきます！！』

バゴォォォーンッ！！

『ウワァァァ！
１体目を弾き飛ばし、そのまま２体目に突進していきます！！』

バチコォォォーンッ！！

『ウォォォォォ！
２体目も弾き飛ばされました！！
すごい揺れです！日常区壊滅の危機かもしれませんっ！！
「つきなみさぁーんっ！！」
『このまま回線が続く限り中継をっ！
……
……あれ？……え？
どういうことでしょう！突如３体とも消滅しました！どこにも姿が見えません！
先ほどまでが嘘のように静まりかえっています！』

昼間の大事(おおごと)が無かったかのように穏やかな夜。
臨時ニュースがモニターに映し出される。
「謎の巨大生物について、有識者会議の結論がまとめられました。
公式発表によると、巨大生物同士の壮大な兄弟喧嘩が行われた模様です。
母親に強烈にどつかれて収まったのだろうということです」