第1話
文字数 1,119文字
俺たちは魔王の城で魔王を倒した。
魔法使いのハルトが軽く言う。
ルカは戦士。めちゃめちゃ強い。
ケンカすると負けるのはいつも俺。
ハルトは天才肌の魔法使いで、敵を見てどの魔法をどの出力で使えばどれくらいで倒せるというのがだいたいわかっている。
それで魔王を倒すのに、ほどほどの魔法でいいと判断したようだ。
ハルトは軽い。けど、めちゃめちゃ頼りになる。
俺とルカとハルトは小さい頃からいつも一緒で、魔王を倒す冒険に出るのも当たり前のように一緒に出た。
だから冒険に出ようと誘ったのは俺だった。
三人なら、どんなことでもできるような気がしたから。
ハルトが俺の名前を呼んだ。
ハルトが俺の背後に隠れるようにいた女の子のことを言う。
大切な宝物のような感じで部屋にいた。
そう言って、スッとお辞儀する。
洗練された仕草に思わず見とれてしまった。
爽やかにハルトは言って、ちょっとホッとした。
ハルトは女の子の扱いが上手だった。
だからモテる。
それなのに俺とルカといつも一緒だから、以前「どうしてだ?」と聞いたことがあった。
と答えた。
と俺も返事をした。
ハルトはさっぱりとしていいヤツだった。
さっきから不機嫌なルカが言う。
お姫様に対して、どうしてそんな態度を取っているんだ?
俺の後ろにいる姫はうなずく。
それは、手紙を書いたとしても心配するのでは?
意味がわからなかった。
俺らもそれは薄々感じていた。
魔王と言っても、必ずしも強いとは限らない。
魔王は魔王城の数だけ居る。
大小いれたら数えきれない。
あっさりとお姫様はうなずいた。
それを倒しちゃった俺らって……