お菓子は甘いがしょっぱい

文字数 520文字

 寒い寒い二月。小学校の裏門から行けるお寺で、お菓子を巻く行事が有った。本当なら、寄り道なんてしたら、先生が知れば怒る。だけど、邪を祓い縁起を担ぐ行事だからか、何故か目こぼしがあった。そして、その行事を知る子供から他の子供へと、少しずつ行事のことは伝わった。
 二月の節分、人間相手には豆ではなく餅やお菓子が降り注ぐ。その食べ物を得るために誰もが必死だ。身長の高い大人達の方がどうしても有利で、背の低い子供はただでさえ不利だ。何より、放課後に向かう子供よりも、それよりも前から向かえる大人達は有利だ。これまでの経験からも良い場所を取れる。

 それでも、一袋でもお菓子を取ってやろうと子供はお寺に向かう。ランドセルを背負ったままで。何でって、学校が終わったら直ぐに行かないと、楽しい行事は終わっているからだ。
 多分だけど、先生も落ち着かない様子の子供達の仕草から、何かを計画していることを感じただろう。だが、先生はそれを問い詰める程の事などしなかった。
 そんな訳で、初めて参加したお寺の行事。何も取れずにへこんでいると、複数個お菓子を取った同級生から情けでお菓子を貰えそうになった。結局、悪い気がして断ったけど、思い出すだけでも心がざわつくのだ。
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