2-2 今回の転生は

文字数 1,095文字

 基本の──っていうか、これだけはいつも変わらないことがあるんだけど


 僕とライくんは必ず同い年で近所に産まれるのね

 へえ
 ライくんの記憶はその都度リセットされてるんだけど、僕は物心がつくあたりからなんとなく前世の記憶を思い出してくるんだ
 そうなのか
 うん

 で、おおまかな歴史の流れっていうか、繰り返してきた転生の出来事を思い出しながらなんとなく成長してくんだけど……

 その間、俺は何してるんだ?
 別に何も


 君は健康に育ってくれたらそれでいいんだ

 なんか、不公平だな……

 俺ばかり何にも知らずに暢気にしてて

 やだなあ、そんなことないんだよ!

 その方が、僕は救われてる

 ……
 で!だいたい15か16になるころ、リンがどこからかひょっこり現れるんだ
 ええ?
 シチュエーションはその時々で違うけど、だいたい僕達の住んでる街に引っ越してくるのが多いかな


 その時にはリンも僕達と同い年で転生の記憶がある状態でやってくる

 そいつはなんで俺達の居場所がわかるんだ?
 リンが言うには、15歳になる頃に突然記憶が蘇るんだって


 夢を見るらしい。その夢の最後に現在の僕達の居場所が正確に出てくるんだって

 すごいな、それ全部呪いのせいなのか?


(逆に怪しくねえ?)

 ものすごくご都合主義っぽくて笑っちゃうけど、僕とリンは呪いが三人を引き合わせてるって考えてる


 ところが──

 今回の転生では、リンの合流が遅れていたんだ

 そうか?

 15、6になる頃だろ?だったら今がちょうど──、あ

 僕もうまく説明できないんだけど、


 いつもだったら『リンがくる』っていう感覚があって、


 『やっぱりきた』って思うんだ

 ……

(いつもなら一緒にいるはずのアイツは、(はるか)を拒絶してた)

 だけど、今回の転生では『リン遅いな』って思ってしまった


 そんなこと考えたことがなかったのに


 これは十分異常事態なんだよ

 昨日会ったアイツはそういう雰囲気じゃなかったよな


 なんていうか、俺達を拒絶してた

 結果として僕達はリンに会えたけれど、合流には至っていない


 もしも昨日会えなかったら、リンは合流しない可能性だってある


 そんなことは今まであったことがない


 それに昨日会ったリンはとても僕達と同い年には見えなかった

(確かに、小6か、いってても中1くらいだったな……)

 だから、(はるか)はあんなに取り乱してたんだな

 ええっと、話を少し戻すけど、リンが遅いって思った時に、少し思い出したことがあって
 うん?
 銀騎(しらき)詮充郎(せんじゅうろう)


 あいつが前回の転生でリンに異常な興味を示していたんだ

(はるか)が二度と会いたくなかったって言った──)
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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