3-5 一回目の終わり
文字数 647文字
玄関を出たところで、永 が空を仰ぎ後ろを向いて何かを見ていた。
つられて蕾生 も同じ方向を見ると、二階の出窓、そのカーテンの奥からこちらを覗く鈴心 の姿が見えた。蕾生 は思わず大きな声で呼びかけようとしたが、永 に無言で制された。
そうしてにっこり笑って
満足気に薄く笑って永 は屋敷を後にする。
その健気な態度に
拒絶しているように見えて鈴心 の言葉には微な希望が読み取れる。きっと意識してのことではないのだろう。
その小さな小さな穴を穿つことができるか、彼らのお手並みを拝見しようと