(2)

文字数 1,140文字

「あのねえ、隊長……ん?」
「おい……」
「何だ?」
 何か……トラックのスピードが上がっているっぽい。
 しかも、妙に左右に揺れ出し……。
「カーチェイスでも……うわっ……」
「おい、みんな、舌噛まないように……(いて)ッ‼」
 自分で言って自分で噛んだら世話はない。
 でも……どうなってる? まだ、関西どころか……大阪府内を出てるかも怪しいぞ。
 しかも……外は見えない、運転手に何が起きてるのか確認する手段もない。
 揺れた。超デカい揺れだ。
 くそ……。
 どうなってる?
 体と荷物がビミョ〜に浮く。
 いや、このトラック……ちゃんと地面にタイヤが付いてるのか?
 何?
 どうなってる?
 何かのとんでもない間違いで、ワイルド・スピードの新作か韓国映画の撮影現場にでもトラックごと紛れ込んだのか?
 たすけて。
 たすけて。
 何が起きて……。
 うわああ……。
 向いに座ってる隊長をキスしかけた。
 やめろ、やめろ、やめろ……。
 いくら改造コンテナとは言え、シートベルトぐらい用意しろ。
 こ……こんどは……あれ?
「いててて……」
「と……止まった?」
 俺達と荷物は一塊になってコンテナの前の方。
 そして……コンテナの後ろの扉が開き……光と涼しい風が差し込み……。
「特務機動隊だ。違法入国容疑で逮捕する。なお、言っておく。貴様らには黙秘権も弁護士を呼ぶ権利もない」
 え……?
 特務機動隊は……「大阪」の警察内の殴り込み部隊の中でも更に特殊部隊だ。
 特殊部隊と言っても、俺達「駄犬部隊」とは、何から何まで正反対だ。
 あっちは警察の特殊部隊。こっちは軍の特殊部隊。
 あっちは超エリート部隊。こっちは懲罰部隊。
 あっちは超体育会系の頭がお堅い連中。こっちは……。
「小隊長殿、中に居る者達のほとんどが『まつろわぬ者』です」
「ありがとうございます、准玉葉。残念だったな。お前らに待つ運命は……更にロクなモノじゃなくなったぞ」
 そして……こっちは何らかの「『精神操作能力』への耐性」を持ってる連中ばかり。
 言い換えれば、大阪では「潜在的犯罪者」と見做されてる奴らだって事だ。
「隊長……」
「何じゃ?」
「このトラックって軍のモノですか?」
「いや……極秘任務じゃったんで……」
「警察に話は通してなかったんですか?」
「そりゃ……()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。何せ、知っての通り、軍には……工作員を秘かに『大阪』外に送り出すノウハウが無い」
 んな馬鹿な話が有るかッ⁉ 今は亡き旧北朝鮮の工作員が「南」に入るのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ようなモノじゃねえかッ‼
 何か……今の「大阪」はかつての北朝鮮より無茶苦茶な……えっと……うん、よくよく考えたら、かつての北朝鮮より無茶苦茶な場所かも知れない。
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