第2話(2)

エピソード文字数 2,036文字

 へ? へっ?
 なんなの、これ?

「従兄くん、その、あれよ。貴方は、独特な感性をお持ちなのね。…………プリースト神様が大笑いを選んだ意味が、分かったわ…………」
「し、師匠、テンパとおんなじぜよっ。一部の人先生には大人気になるぜよ!」
「ゆ、ゆーせー君、あのねっ。絵本にしたら、おもしろそーかもっ」

 三人は一様に、不自然な笑みを浮かべる。
 あー……そっかー……分かったよ。俺って…………思ってた以上に、上級者向けの笑いを作ってたんだなぁ。

「アナタ達にレベルを合わせないと、面白味を全く理解できないのか。笑いの質を下げるのって、難しいなぁ」
「ミョミョミョミョミョ!? 事実に気が付いてない――」
「師匠っ、どうにか下げて欲しいがよぉぉっ。それと、あれぜよ! 別の角度からネタを作って欲しい――ううん、もう一発芸に切り替えるぜよ!」
「それがいいわ! 従兄くん、一発芸にしましょう!」

 一発芸ねぇ。父さんが『大人になったら必要だぞ』と再三言ってたから、やってみましょうか。

「了解。じゃあ、早口言葉をやります」
「「「「…………」」」」(ホッ)

 なんか、安堵したような……? まぁいいか、やろう。

「こほん。生麦生米なまたみゃごふ」

 噛んだ。

「ぶほっ!」

 ユニが笑った。

「…………ふむふむ。そういうことね」

 今のは、大笑いまであと一歩。この人は、こういう系で攻めていけばいいんだな。

「ならお次は、モノマネやります」
「「「「…………」」」」(ホッ ワクワク)

 いくぞ? くらいやがれ!

「んぁっ、ぁふんっ! やぁぁんっ! きも、ちぃぃ……!」
「ミョミョ!? ヘンタイがいるミョン!」
「おめーのミョンダチだよ!! 隣にいるヤツだよ!!

 ぶっ飛んでるあまり驚愕が笑いに変わると踏んだんだが、作戦失敗だ。次行こう。

「にゅむー。ゆーせーく――悪い。別のにするわ」

 こんなのでは、笑いは取れない。もっと取れそうなヤツはないのか……?

『あれがあるじゃねーか。あれだよ、あれ』

 アレ、か。おっけ。それ、採用です。

「オッホン。参ります」
「「「「…………」」」」(ゴクリ)
「……ふぅ……。神魔法少女(しんまほうしょうじょ)イウ、いっくよーっ」

 チャンチャンチャンチャン チャッチャッチャー♪

「きゅるるんきゅるるるラブラブブーン☆ 悪い魔物さんお仕置きよ~☆
 にゅるるんにゅるるるハートハートッ☆ 悪い人も、お仕置きよ~っ☆
 素敵な世界を汚すのは、駄目ダメ駄目ダメ許さないー☆ どんな理由があってもね、そういう行為はいけないのー☆
 だからアタシは戦うよ~☆ どんな困難があっても負けないよ~☆
 だけど時にはね、負けそうになるの。痛いし、辛い時もあるの。涙が出ちゃいそうな時だってあるの……っ。
 でもでも皆のスマイルを見ていると、何度でも立ち上がれるっ。何回でも、前を向けるの!
 だ・か・ら、アタシはずっと戦えるっ。
 えい、えい、おーっ。みんなと地球を護るタメ~、アタシは全力で戦うよー!」

 ドドドッドッド タラタラタラタラ♪

「きゅるるんきゅるるるミラクルハート☆ 悪を懲らしめ生きてまーす☆
 にゅるるんにゅるるるラブリースマイルッ☆ 悪を滅ぼすの生き甲斐よー☆
 だって平和で笑顔が増えるんだもんっ☆ アタシは人知れず、毎日戦うよー☆
 ラブラブラブラブ、みんな愛してる~☆
 だからアタシは戦うの~☆ みんなのために、戦うの~☆」
 ジャジャジャジャジャッジャ ジャジャジャジャーン キラン♪

 決まった! 耳にした瞬間笑い転げてしまった、悪友・空霧雲海(そらぎりうんかい)作詞作曲の『神魔法少女イウ ラブリーラブラブTYPE4』が決まったよ!

『優星、パーフェクトだったぜ。かなりキモかった』

 それは褒め言葉として受け取っておく。
 さーてさてさて。皆さんの反応は、どうかな?

「「「「………………………………」」」」

 全員、硬直。微動だにしない。

「お、おーい、どした? どうしたの?」
「ま、まさか、そんなコトをするとは思わなかったミョン……。開いた口が、塞がらないんだミョン……」
「私、従兄くんを好きだけど……。こっちにお尻を振るのは、ちょっと……」
「あと、両手でハートを作るのもキツイぜよ……。師匠には、むいてないがよね……」
「で、でも、ゆーせー君が好きならいーと思うよっ。表現(ひょーげん)の自由(じゆー)だもんっ」

 なんか、俺が滑ったみたいになってる。
 こ、これは悔しい……っ。色紙優星は、最高のネタを作れる男なのに……!

「っっっ、このままでは納得いかんっ! 時間はたっぷりあるから、過去に作った面白昔話134点を披露しよう!!

 ピカッ
 そう宣言したら、プリーストの杖が眩い光を放った。
 えっ? これは、なに……?
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

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