第1話

文字数 299文字

 目の前を流れる淹利大水を見て朱蒙は愕然とした。
「せっかくここまで来たというのに」
 追っ手は迫り来ている。
 数日前、母の柳花夫人が、金蛙王の嫡子である帯素王子が自分を殺そうとしていることを知らせてくれた。母の勧めるままに朱蒙は国を出た。
 河幅は広く流れは早かった。
 朱蒙は思わず天に向かって叫んだ。
「我は天帝の孫であり河伯の外孫である。今、追っ手が迫り来るというのに河を渡ることが出来ない。願わくは我を救い給え」
 すると多くの鼈と魚が寄り集まり橋を作ってくれた。
 朱蒙一行はこれを利用して対岸に向かった。彼らが渡り終えると同時に鼈と魚は散らばっていった。お陰で追っ手たちは河を渡って来られなかった。
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