第1話(4)

エピソード文字数 2,008文字

「いやー、どうもっス。お待ちどうさまっスよっ!」

 誕生日、おめめめ~♪ この世に生を受けた奇跡に感謝感激雨感泣。キミがいるから幸せで、今日は世界にとっても記念日だ!
 キミはいるから僕も生きてる、僕と君は二人で一つ。勝手に必要にしちゃってる!
 そんな身勝手許しておくれよ、だって今日は誕生日っ。無礼講でいこうじゃないの。
 年齢性別なんて関係ないない。さあみんなで聖なる誕生日に乾杯だー!
 誕生日(たーんじょーびー)、おめめめ~♪ この世で歩んだ軌跡に感謝感激雨敬服。黄身がいるから幸せで、今日は白身にとっても記念日だ!
 黄身がいるから白身も生きてる、僕と君は二つで一つ。僕らは卵みたいな関係さ。
 そんなキミの祝日を、祝わずにはいられない。だから僕は、こう叫ぶ。
 誕生日(たーんじょーびー)、ホントおめめめ~♪ ベリベリ、おめめめ~♪
 キミがいる事実にとっても感謝っ。これからも困った時は頼るから、いつものように助けてね~♪
 ――という奇妙な歌をレミアさんから頂戴した直後に、リリウさんが御登場されました。

「忙しいとこソーリーです。緊急事態とやらは、丸く収まったの?」
「はいっスよ。無事に、2周年特別ゲリライベントをクリアできたっス!」

 ほうほう、ほぅほぅ。コイツは、スカイ&シーをやっていたのか。

「色紙さん、それはさておきっス。予想通り、魔王使いになりたくなったっスね~っ?」
「ちげーよ! 契約を解除できなくて困ってるんだよ!」

 バカなオツムに手刀を落とし、的外れ発言と狼藉をお仕置き。どうにか溜飲を下げた俺は、頭をボリボリと掻き毟る。

「命令しても、この子は従ってくれないんだよ。原因はなんなの?」
「…………そーっスねぇ……。とその前にっス」

 不意に神様は、魔王に身体を向ける。
 どうでもいいがこの文章だけを読むと、壮大な物語に思えるな。これから神VS魔王のラストバトルが始まるみたい。

「レミアちゃん、だったっスよね。色紙優星さんはどうっスか~?」
「とってもいー人だったよー。紹介(しょーかい)してくれてありがとーっ」
「そんなぁ、お礼を言われる資格はないっスよ~。色紙さんの氏名や転移先を伝えそびれてたんで、不手際だらけだったんス~」

 と、呑気にお喋りをする神様と魔王様。ソレにイラッとしたから人間は、神様の左耳を引っ張って向き直らせた。

「リリウ。げ・ん・い・ん・は、な・ん・な・の?」
「色紙さん。た・ぶ・ん・っ・ス・ね」
「真似するな。普通に舌を動かせ」
「ラジャーっ。イエッサーっス!」

 人間が睥睨すると、神様は即座に最敬礼をした。ここにいる神様、よえーな。

「えっと、スね。そうなってるのは、規則に当てはまってるからっスよ」
「規則というと、無茶苦茶な命令は×ってヤツでしょ? これのどこが該当するの?」

 契約をやめるのは、解放するようなモノ。むしろ逆な命令だよね?

「あのっスねぇ。色紙さんサイドからするとそうでなくても、レミアちゃんサイドからすると無茶苦茶だったっんスよ」

 なぬ?

「契約を申し出てきて承諾したのに、その相手が一方的に破棄する。そんなことをやられたら、色紙さんは理不尽だと感じますっスよね?」
「ん。そりゃそうだね」

 十数分前『むこうにとってはこんな断られ方――』と言ったように、俺がレミアだったら不満を抱く。

「この『理不尽』は規則に当たりますから、その命令は跳ね返されちゃうんス。ですから解除には、同意が必要なんスね」

 そういうことか。思っていたより、『無茶苦茶』の基準は低いんだな。

「心の底から、ソーリーっス。ワタシの作戦は穴だらけだったっスよ」
「リリウ、お詫びはいい。それより、別の方法を考えてくださいな」

 解除しないと帰還できないのだから、なんとしてでも白紙にしないといけない。俺は神様ならなんとかしてくれると、少しだけ前向きな気持ちを抱いています。
 …………。今回は謙虚にしたから、イケるよね?

「そーっスねぇ。黙考してみ」

 格好よく顎に手を当てた瞬間、神様消失。どうやらタイムアップになったらしい。

《色紙さん、最後のテレパシーっス! 一年後には再び降臨できるので、自力でどうにもならなくても来年には必ず何とかするっスよっ》

 よーっしぃ。出来るだけ早く解決して、次の年にアイツが来たらドロップキックをかましてやろう♪

「とはいえ…………手が思いつかん。どうしよう……」
「ゆーせー君っ、雇うっきゃないよっ。そーしよーっ」
「いやね、レミアちゃん。そうなったらマズイんだよ」
「にゅむ? なにがマズイのー?」

 彼女は首を左に傾け、お目目をパチクリさせる。
 子孫が絡む話は、女の子にしにくいからなぁ。ここは、そうですね。別の話題で攻めるとしましょう。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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