第5話

文字数 286文字

廃炉作業。
僕の頭には、それしかなかった。
悪質そうなブローカーに、三田村邦彦とふざけた偽名を付けられ、どうやら僕はそういう人間としてそれから生きた。
原発作業員。
この終わりのない作業。
天職だった。
忍耐力だけはあるし、いつ死んでも構わない。
数値をごまかすのが、むしろ歓迎された。
慢性的に人手不足だったから。
はぐれものばかり。
心地よい。
死ぬまでここで良い。
ピンハネされるから高待遇とは言えないけど、金を使わなければ月10万ずつ、迷惑かけた3人の大切な人に返していける。2.、3年でとりあえず完済出来るから、5年は払い続けよう。
しかし一年も経たないうち、僕はここを抜ける事になった。
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