第1話「エリック」

文字数 791文字

 前・領主フレデリックたちがレーツェレストに隠居してから二年が経ち、エリックとマーティンは八歳になっていた。
「エリック!」
「マーティン?」
 昼過ぎの休み時間に教室で、エリックはマーティンに名前を呼ばれ、振り返った。
「ごめん! 今日は生徒会があるから、一緒に帰れないんだ」
「そんなに気にしなくていいよ?」
「でも……」
「もう大丈夫だから。マーティンに助けてもらいたい人は、たくさんいるんだから、その人たちを助けてほしいんだ」
「エリック……」
 心配そうにエリックを見ていたマーティンだったが、彼の瞳から強い意志を感じ、真剣な表情を見せる。
「わかった。でも、もし何かあったら、ちゃんと言って?」
「うん、わかった」
 エリックはマーティンを安心させるように、ふっと微笑んだ。マーティンもつられて微笑もうとした、そのとき。
「エリック君!」
「マリー先生……?」
 エリックとマーティンが振り向くと、教室の入り口に立っていた担任先生は、ちょうど呼吸を整えているところだった。先生が何とか姿勢を正し、話しながら二人のいる場所に近づいていく。
「エリック君、お母様が大変なの!」
「……え?」

「お母様が、仕事中に倒れたらしいの! 早く病院へ行って!」

「おかあさんが、倒れ……?」
「マリー先生!」
「マーティン君?」
「僕も行っていいですか? エリック君のお母様とは、小さい頃から仲良くさせていただいていますから! どうかお願いします!」
「ええ! 早く行ってあげて! マーティン君のお母様も、外で待っていらっしゃるから!」
「お母さんが……?」
「ええ!」
「ありがとうございます!」
 マーティンがホッとした顔で先生にお礼を言う前に、エリックはもう教室から駆け出していた。
「エリック! マリー先生! 失礼します!」
「気をつけて!」
「はい!」
 マーティンは返事をしながらも教室のドアを掴み、方向転換し、学校の玄関へ急いだ。


 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

「名前」

 エリック・ギルバート。(黒)

「誕生日」

 4月15日の牡羊座。

「年齢」

 プロローグでは5歳。

「身長」

 5歳、120センチ。

 8歳、139センチ。

 10歳、150センチ。

 15歳、177センチ。

 16歳、180センチ。

 18歳、185センチ。

「イメージカラー」

 赤、白、金。

「髪」

 黒のショートカット。

「瞳」

 黒。

「顔」

 整っている。明るく優しい少年。

「服装」

 戦闘時:白いハイネック。

     鮮やかな赤いフードつきの上着。

     フードの下に留め具。

     後ろの裾は燕尾ジャケットのような形。

     赤い軍服。前に金の留め具。

     襟の下だけを上着の前に出す。

     全体的に軽くて動きやすい。

     茶色のブーツ。

 普段着:白いカッターシャツ。

     ベージュのズボン。

     茶色の紐靴。

     ベージュのロングエプロン。

     ポケットがついている。

     腰より少し上に同じ布の紐を前で蝶々結びにしている。

「性格」

 幼少期。

 明るい性格だったが、うつ病になる。

 うつ病が治ってからは、大人びてきた。

 病気の母親のこともあり、「しっかりしよう」と、思っている。

 士官学校時代。

 基本的に世話焼き。父性と母性の持ち主。

 女性と一緒にいても、お兄さんか母親のような雰囲気になる。

 必ず助けに行く。諦めない。明るい笑顔。

 料理が趣味。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み