求道者イナンナ

文字数 7,659文字

「生憎とそんな風体の男はごまんといるからねぇ。見たかも知れないけどいちいち覚えちゃいないよ」
「そうですか……。ありがとうございます」

 気位の高いエルフが丁寧に頭を下げた事に驚いた様子の宿の女将は、先ほどよりも口調をやわらげると逆に尋ねた。

「お嬢ちゃん、随分熱心にその人を探してるみたいだけど、あんたの”いい人”かい?」
「いいえ……。ただ……私の心の師と思っております」

 今日も宿で、酒場で。あの人の事を聞いて回っても何も分からなかった。溜息が風に消えていく。吐息を吹き飛ばしていった風に遊ばれていた腰まである銀の髪を押さえながら、イナンナは目を細めた。冒険者斡旋所に隣接していた酒場から、噴水の広場へと降りて行こうとして、ふと視線が止まる。冒険者同士の交流の場所となっている広場で、背負っていた荷物を下ろして露店を開こうとしているドワーフに目を奪われる。

「違う……。似ているけれど、あの人ではない……」

 大地の種族であるドワーフしか扱えないだろう巨大な戦斧を背負ったまま、売り物の装備品や火打石等を鞄から出していた彼。イナンナの尋ね人によく似てはいたものの、やはり違う人物であった。探し続けてどれ程の期間になるのだろうか。あの時から少し伸びた髪が、風に優しく遊ばれるのを見つめながら、イナンナはあの人を想った。



――求道者イナンナ。

 そう呼ばれ、周りから孤高の存在として見られていた彼女は、実際に孤独な存在であった。
 エルフとして生まれ持った美貌だけでなく、知性に彩られた瞳は見る者を魅了し、そして動く度に揺れる長い銀色の髪は、光の煌めきの様であると他の冒険者たちからも遠巻きに見られていた。

――そう……遠巻きに。

 エルフの冒険者自体はこの街では珍しいものでもなく、斡旋所へやってくる冒険者の見習いを教育しているのもエルフの戦士であったりする。別にエルフだから知性に溢れ、他者を排除する孤高の存在……と言う訳でもなく、他の冒険者と同じ様に笑い傷つき、そして日々を暮らしている者がほとんどだった。

――だがイナンナは別だった。

 魔術の理を学びし時より才に溢れ、そして飽くなき探求心で知性を磨き、同じエルフの中でも非常に聡明な部類にいた彼女は、同時に孤独であった。あっという間に高き段へと上っていった彼女。おかげで友と呼べる人もおらず、心の内を語れる親しい仲間も恋人もいなかった。落ち着いた物腰と話し方で見た目よりも年嵩に見られる事も多かったイナンナは、それを活かし森を旅立った。元より早くに両親を無くし、息苦しいだけだった故郷に未練はなかった。

 何かを追い求めるように冒険者となった彼女だが、冒険者として街で登録してもその孤独は癒えなかった。
 冒険者としての実戦経験はなくとも強力な魔法をある程度使え、見た目も麗しい彼女に人気は集中した。だが、遠巻きに見ているだけで彼女に声を掛けてくる者はなく、また彼女自身も孤独に慣れ過ぎていた為に、自分から声を掛けるということは出来なかった。

 そうして周囲が三々五々に固定のメンバーを決め、少しずつ経験を積んでいく中で、イナンナは見習いを抜ける為の試練である古びた下水道の探索を、一人終えようとしていた。



 この街の地下にある下水道をねぐらにしている小規模な盗賊団の情報を集めて来て欲しい。探索ついでに斡旋所からの依頼を受け、ねぐらになっているという中層域まで降りて来たイナンナであったが、目的の場所に到達してみればもぬけの殻だった。

「情報が古かったのですかね……」

 状況を伝えて依頼を終えようと地上への道を戻りかけた時だった。激しく金属がぶつかり合う音が彼女の長い耳に聞こえてくる。そして魔法の気配。イナンナは着ているローブが擦れて音を立てぬように気配を消しながら、そっとそちらへと向かった。


「今度こそ仇を取らせてもらう」

 声が力強い響きを伴って辺りに広がる。ダンスホールの様に開けたそこには、そこかしこに賊のものだろう遺体が転がっている。動いている者は会話をしている首領らしき大柄の男と、イナンナからは奥側に当たる場所にいるドワーフの二人だけの様だ。

「もう死んじまった女にまだこだわってんのか。だからおめぇは甘いんだよ」

 言いながら投擲されたダガーを回避しドワーフは吼える。

「お前には分かるまい。永い時の中で仲間というものが、どれほど大切なのか」

 ドワーフはその身長と同じ位もある大きさの戦斧を振りかぶると、列迫の気合いと共に振り下ろす。すると斧と同じ幅の闘気の刃が放たれ首領へと迫る。回避ではなくとっさに持っていた両刃の剣で防御するが、諸共に男は両断された。ドワーフはその死体に近付くと、動かない遺体の胸元から小ぶりの黄金のハンマーを探し出して自らの懐に入れる。

「こいつも返してもらうぜ。ただの金目のもんじゃねぇんだ」

 断末魔を上げる隙も残さず左右に分かれた男の姿を見て、イナンナは息を飲む。いくら冒険者として魔物を討伐していても、魔法を操るイナンナはここまで生々しいまでの【死】を、死体を見たことが無かったのだ。

 ギロリと、ドワーフがこちらを見る、未だ殺気だったその気配。そしてその禍々しさに身体が硬直する。
 以前、冒険者として登録した際に案内された街の隅にある牢獄を思い出す。ギラギラと殺気だった瞳。下卑た声をかけてくるも、案内していた衛兵が槍で脅すと一瞬だけ静かになる。でも何よりも怖かったのが、そのまとった黒い気配。明らかに人を殺めた事がある禍々しきもの。
 それと同じものが目の前のドワーフから立ち昇っていたのだ。

「こ、こないで……」

 震える腕で自分の目の前に愛用の杖を掲げるが、恐怖で魔力を集める言葉もこぼれてしまう。先の男の様に自らの身体も分かたれてしまうのか。ガタガタと震えながら後ずさっている内にイナンナは思い切り足元のガラクタに引っかかり転倒する。さらにはその勢いで壁の隙間に頭が綺麗にはまってしまう。

「え、ちょっと。あ……」

 どうやっても一人では抜け出せない状態に、先ほどまでの緊張も頭から抜け落ち、気付けばイナンナは悲鳴の様に助けを口走っていた。

「も……申し訳ございませんが……。助けて下さいませんか!」



「本当に危ない所をありがとうございました……」

 先ほどまで命の危機に真っ青にしていた顔を、今度は真っ赤にして消え入るような声で謝るイナンナ。それに先程までの殺気を引っ込めて唸りの様なしわがれた様な声で話すドワーフの戦士。

「こんな別嬪の尻も触れたし、俺としては万歳ものだがな」

 不可抗力とはいえ、しっかりとローブ越しに掴まれた腰は未だに痛い。そして男性にむんずと掴まれた経験等無く、思わず膨れっ面になり、何か言おうとしたイナンナへずんぐりとした毛むくじゃらな指を突きつけ話を遮るドワーフ。

「だがな嬢ちゃん、忘れちゃいけねぇぜ。ここは街じゃないんだ。魔物も徘徊するいわば迷宮だ。冒険者の新米だからって甘く見てくれる様なやつもいなければ、誰かが助けてくれるかどうかも分からねぇ所だ。自分で自分の身を守れないなら、経験をもっと積んで余裕が出てからでなきゃこんな所まで来るんじゃねぇ。それと俺は見ての通りの訳有りだ。神のご加護なんてもんもありゃしない。関わらん方がいい」

 言われた言葉に、コクコクと素直に頷きつつもイナンナは返す。

「でも、わたくしはここまで一人でやってこれましたし、これからも大丈夫ですわ」
「そういう甘い考えをしてるから新米だって言うんだ。どうせ、死んだ経験もないんだろう」

 この世界では【死】は即ち終焉では無い。神官の祈りと奇跡があれば、死体から蘇生する事が可能なのだ。魂そのものが死霊や死神に傷つけられたり、悪事を働いて魂が汚れたり、死体そのものをどこか誰も届かない所に追いやられ、魂の還る場所が無いということがない限りは、死を迎える前と同じ様に生活が出来る。――そして、イナンナはここまで上手く立ち回って来た為、自らの【死】を体験した事は無かった。
 無言で俯くイナンナに、それ見たことかとドワーフはひと睨みすると話を続ける。

「いいか。俺があんたを殺したら、誰がこんな奥までやってきてお前さんの死体を回収してくれるんだ。斡旋所のやつらも帰ってこない冒険者の心配なんざしないだろうよ。地上まで魂が無事に帰られるならいいが、ひどい時は死体をもっと奥まで運ばれ身ぐるみ剥がれておしめぇよ。お前さんの風が吹いている内に帰るんだな」

「でも……でも、そんな事をする様な悪人に、あなたは見えませんわ」

 目線を外さず毅然と放ったイナンナの言葉に、ドワーフの戦士は暫し呆気に取られた様だったが、詰めていた息を吐くと同時に視線を落とした。

「どうだかな……。俺の気が変わってお前さんを襲う前にさっさと消えた方がいい。俺の風は今は凪いでいるだけだ」

 その言葉を聞いて、立ち上がりながらイナンナは下を向いたままのドワーフに声をかける。

「イナンナです。お前さんでもお嬢ちゃんでもありませんから」
「鼻っぱしらの強ぇこって。俺は……アッシュでいい」

 視線を逸らしながらポリポリと鼻の頭をかくこの男が、イナンナの目にはただ闇雲に人を襲う、牢獄にいた犯罪者たちと同じだとは到底思えなかった。



「ところでここは……一体……」

 アッシュと別れ地上へと戻る予定が、先程の事を色々と考えている内に、どこをどう間違ったのか見たことも無い通路に出てしまったイナンナ。足首を越える程の水が流れているそこは、現在の街で使用されている下水の主流とは外れた箇所だろうか。明らかに地上への出口とは違うだろう通路は、奥が明るくなっていた。
 この辺りに出没する魔物は、闇の中で成長してしまった巨大なネズミや蛙。後は淀んだ空気で生み出されたガスが意思を持ったもの程度。どれも今の彼女には簡単な魔法で散らせる様なもの。通路を進めば出口に繋がっているだろうと歩みを進めると、角を曲がった所で自然光がしっかりと差している箇所を発見した。

「ここならば……」

 見上げれば空の青さが見える。郊外の井戸か何かと下水が一部繋がっていた様で、登れる様なロープ等は無いが、風の魔法を使って身体を浮かせていけば外まで出られるだろう。先ほどとは違って落ち着いて風を操る魔法を行使しようと力ある言葉で魔力を集め始めた時だった。ちょうど外からの光の真下にいるイナンナからは見えない位置。暗闇から獣の唸り声が聞こえてくる。そしてのっそりと大柄な何かがゆっくりと姿を現した。思わず呪文の詠唱が止まってしまう程の威圧感。それは紫にまで染まった瘴気をまとった二足歩行する犬型の亜人コボルトであった。
 本来のコボルトは、新米の冒険者でも相手に出来る程度の強さしかない。だが、この紫の瘴気はまずい。イナンナは痛い程に鳴り響く自身の心臓の音を聞きながら、斡旋所での注意を思い出していた。

【闇をまとった魔物は規格外だ】

 周辺の魔物を倒し、喰らい、そうして強くなった個体は、いつしか地下の闇すらも吸い、違う魔物へと変貌していくという。それは手練の冒険者でも苦戦する魔物と化し、新米なら見た瞬間に逃げろと言われていたのだ。――だが遅かった。イナンナを得物と認めたコボルトは、水面を走っているのかと思う様な速度で、一気に距離を詰めてくる。慌てて呪文の詠唱を短縮。目の前に小型の竜巻を発生させる。そこに突っ込んだコボルトが壁に弾き飛ばされるのを確認する前に、イナンナはその場から走って逃げていた。

 自らの呼吸音がうるさく耳に届く。足音を消せない。追ってくる気配は濃密。無我夢中で走って為、普段なら引っかからない様なガス溜まりを踏みつけ、毒の臭気を浴びてしまい動くだけで視界が霞む。――ここはどこなのだろうか。辺りは明るさから遠のき、また闇が深くなる。辺りの壁際に横たわっていた遺体が動き出す。かつての墓地だったのか。次々と放置され腐った遺体が緩慢ながら集まってくる。生きている者を呪うかの様に。まともに呼吸が出来ないながらも魔法の為の言葉を紡ぎ、寄ってくる屍をなぎ払う。

――どこで間違ったのか。そこまで油断していたのか、自分には【死】が訪れないとでも思っていたのか。

 視界と思考はぐるぐると回る。蠢く屍の緩慢な足音とは違う走ってくる何かの足音を聞いて【死】を感じた。その隙に一斉に屍が殺到する。
 ――神はいなかった。私の進むべき道とは一体何だったのだろうと意識が身体から離れる間際、最期に目に映った光景はバシャバシャと豪快に水を跳ね飛ばしながら突っ込んでくるずんぐりとした太い足だった……。



 巨大な光の何かに闇から引きずりだされた感覚の後にイナンナが目を開くと、そこは街の教会であった。外では陽光の下で広場の噴水が爽やかに水を噴き上げている。見慣れた平和な光景だ。ここで蘇ったとなると、誰かがわざわざ運んでくれなければ不可能なはず。

「気が付かれましたか」
「私は……」

 神官の声がけに、まだ自分の身体ではない様な違和感の中でイナンナは声を発する。

「先程ドワーフの戦士の方がやって来られ、あなた様の遺体を置いて行かれたのですよ」
「その方はもしかして……」

 棺の中から身を起こしたイナンナに、神父は痛ましそうな顔で答える。

「えぇ……人を殺めた事のある犯罪者の方でございました。貴方様の遺体を当方へと預けると、教会を出てすぐの所で衛兵に捕まり連行されて仕舞われました。街外れの牢獄に入れられておいででしょう……」

 その声を聞き、イナンナはまだぎこちない身体で街外れへと向かった。



 鉄格子の狭い空間に入れられたアッシュは、とうとう年貢の納め時かと頭の上で手を組むと冷たい床に横になった。随分とあちこち飛び回り……そして無用な戦いを挑む者を随分と殺したしまったものだ。この黄金色のハンマーは確かにかなりの値が付くだろうが、そんな物の為に作り出した物ではない。あちこちの賊の手に渡り、随分と力を失っている。磨き直すには専門の施設が必要だ。この街の魔法局が度々出してくる依頼の時に潜り込むしかあるまい。そんな事を考えながら、いつしかアッシュは目を閉じていた。

 辺りで囃し立てる様な声で騒がしくなって目が覚めた。いつの間にか意識が飛んでいたらしい。いつ襲われるか常に気を張った生活が長く続いていたから無理もない。だがそれにしても、あの鼻っぱしらと魔力の随分と強い嬢ちゃんには和ませてもらったもんだ、と考えていた矢先にその人物が目の前の鉄格子越しに現れた。

「おいおい嬢ちゃん! 何だってこんな所に?」
「イナンナです! アッシュさん。何故私を助けたんですか! そのおかげであなたがこうして捕まってしまって……」

 鉄格子を握る手に力を込めてイナンナは慟哭する。その手を見つめてアッシュは静かに諭す。

「遅かれ早かれ捕まるもんだったのさ。罪を償って犯罪者の証が消えるまでは時間がかかる。その為の休息さ」
「でも……」
「でもじゃねぇって言ったろ?」
「でも……私があんな無茶をしなかったら……」
「だからモンスターを倒すだけが経験じゃないのさ。そういった知識も経験の内なんだよ。それが分かったんだし、今生きてるんだからいいだろうが」
「でも……私を助ける理由があなたにはありません」
「目の前に困ってるヤツがいて、それを助けない程腐ってはないつもりだ。それもこんな別嬪さんなら尚更な」

 イナンナにはやはり彼が悪人には感じられなかった。

「さぁ、講釈は終わりだ。尻が触られたくなければ、こんな所から帰んな」

 辺りから下卑た囃し声が聞こえてイナンナは我に返る。

「さぁ行った行った。俺は疲れたんだ……」

 そう言って犬でも払うかの様にシッシッと手を振ったアッシュはそれ以降一切喋らなかった。暫く何か言いたそうにしていたイナンナだったが、見張りの衛兵の無言の圧力もあり静々と去っていった。
 目の端でそれを見送ると、アッシュはこんな自分も、真っ直ぐな彼女もまだまだ青いのだなと心の中で呟くのだった。



 初めての【死】からの蘇生。そして色々な体験の疲れでイナンナは定宿の部屋に着いた途端に泥の様に眠りについた。夜半に爆発音を聞いた気がするが、布団の優しさにまぁいいやとそのまま眠りに付き、爆発の真相を知ったのは翌日の朝に瓦版を見た時であった。

【牢獄が謎の爆発! 犯罪者多数行方不明!? 盗賊団の報復か】

 瓦版の周りに群がる冒険者や街の住人によると、昨夜街外れの牢獄で謎の爆発があり、捕まっていた犯罪者が脱獄したという事だった。慌てて街外れに向かうも見物人多数な上に、厳戒態勢で近寄れず状況は瓦版以上の事は分からなかった。

「アッシュさん……」



 あれから幾度も足を運んだが、アッシュの行方は様として知れなかった。ただ酒場や宿屋で色々な人に話を聞く内に分かった事がある。アッシュは元々好んで人を殺めた訳ではなく、賊に盗られた物を取り返すために幾度も戦う内に倒した人間の多さに気付けばああなってしまったのだという。また、地下で彼に出会った者たちもいたが、犯罪者だからと無闇に襲いかかる冒険者を自衛の為に反撃していただけであって、彼が自ら襲いかかって来るような事は一切なかったという。

 イナンナは思う。アッシュに出会わなければ自分は今ここにいないだろうし、もし順調に探索を進めていたとしても必ずどこかで野垂れ死んでしまい、きっと死体も魂も残さず消滅していただろう。それを身を持って教えてくれたアッシュにはどれだけ感謝してもしきれない。もうこの街にはいないかもしれない。いても結局憎しみの連鎖で誰かに狙われて、また襲撃されているのかもしれない。ただ、自分は今度こそ彼の力になりたいと思う。あの人の様になりたい、あの人の傍にいたい。
 これは恋なのだろうか、憧れなのだろうか……。自分でも分からないけれど、ただもう一度会いたいのだ。


 また優しい風が吹き抜けた。ドワーフの戦士は露店を開始した。そうだ、神に祈る聖職者の道もいいがやはり私は一番得意な風の魔法の様な存在でいよう。あの人に私のこの想いが風に乗って届きますように。そっと風に祈ろう。杖を掲げイナンナは風に想いを溶け込ませる様にアッシュの無事を祈った。

 ーー風よあの人にどうか届けておくれ。ここに想うエルフがいることを。

 広場を、街をさざ波の様に風は走っていった。
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