第1話

文字数 1,104文字

 Change. Yes, we can! (変えよう。私たちはできる!)は、2008年のアメリカ大統領選挙でオバマ候補が使ったキャッチフレーズである。
 アメリカに永く住んで仕事をしている人の話では*、アメリカでは組織や会社に悪い傾向が出始めると、改善ではなく変化が必要だと考える常識が根付いているのだそうだ。彼らは変化の前にいくら改善しても無駄で、できるだけ早い変化の決断が必要だと考える。(*https://takaakisato.com/jyutsulog/a021.html から引用した)
 成る程、狩猟民族らしい考え方だ。

 【天下泰平】[名・形動]世の中がよく治まり、穏やかな様子。また、何の心配事もなく、のんびりしているさま**。(**goo 辞書から引用した)
 「まあまあ、そう事を荒立てるな、良きように計らえ。」と組織の長が部下に指示を出す時代劇の一場面を連想する。
 ここ山形県庄内は日本有数の米どころ、(さかのぼ)ること室町時代から14 代、16 代と代々続く農家が珍しくない。稲作は自然相手、品種改良などの改善はしてきたが、田植えの時期を変えるほどの大きな変化はなかった。土を相手のまさに農耕民族そのものだ。
 変化は望まない。皆で一緒に仕事する和を大切にする。大事なのは地域の掟なのだ。

 呑み屋のカウンターでひとり考えた。
 さて Change (変化)と天下泰平。
 どちらか一方を選んでそれを維持するのは難しい。Change にはエネルギーがいる。天下泰平は、流れに身を任す許容と気の長さがいる。
 体調や気分に波があるように、その時その時の状況によって、これらを使い分けるのがいいのかなぁ…? それではどっちつかずのような気もするし…。
 あ~でもない、こ~でもない。()くして春の夜は更けていった。

 んだの~。
 酒を呑むのに年季の入ったお品書きに、代々継ぎ足して使っている秘伝のタレなど、歴史のある老舗もいい。
 しかし、庄内町の行きつけの居酒屋も面白い。メニューは大将の手書きで、日毎に替わる。その中には大将のオリジナル作品も紛れている。
 写真は、”あんこもち春巻き” \ 380- である。(大将の許可を得て撮影した)

 「大将、これは酒のつまみですか? デザートですか?」
 「分かりません。食べてみて教えて下さい。」
 あんこ餅を春巻きにして揚げてある。おまけに桜の花まで添えてある。ん~、これはねぇ…?
 食べてみると揚げあんドーナツの味がした。焼酎甲類「(さわやか)」の水割りを流し込んだ。ん~、これには抹茶ハイか焼酎のお茶割が合うと思った。
 試行錯誤の過程はホント、面白い。
 んだ。
(2024年4月)
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