第4話 金麦

文字数 357文字



「あのさぁ父さん」
「(うわぁ年頃の娘らしからぬ湯上り……)ん、どした?」
「あたしの金麦、冷凍に入れといたよね?」
「あ、ああ、うん(見てるこっちが恥ずいわマジで)」
「で、それがなんで野菜室に入ってんの? 冷凍のまんまだったら湯上りに適温になってるよね?」
「あ、そ、そうだったな。あはは……か、母さんが凍ったら破裂するからって、その」
「じゃあ母さんが野菜室に入れたの?」
「い、いや、それより風邪ひくから何か着なさいって(怖……帰省のたびこれだよ……)」
「……父さんが入れたんだね?」
「う、うん……」
「(チッ)まぁ、別にいいけど。減ったわけでもないし」
「(いま舌打ちしたよね、この子舌打ちしたよね)ま、まぁ服を着なさい。酌でもしてやらんこともないから」
「ほんとー? じゃ、許そっかなぁっ」
「(つーか頼むから服を、着て)」
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