6-4 共鳴

文字数 1,045文字

 ようするにどうなんだよ?

 銀騎(しらき)さんの容体をお前はわかってるのか?


 それとも超天才の親父が作った術式なんて理解できないって言いたいのか?

 どちらかと言えば、後者かな


 父の術式は精巧かつ複雑で、父でないと全てを理解するのは不可能だろうね

 そんなんで大丈夫なのか?
 天才に凡人が報いるためには試行錯誤を繰り返すしかない


 そのために君達を連れてきてもらったんだ

 具体的にはどのような処置をお考えなんです?
 僕が考えているのは、共鳴だ


 先日、蕾生(らいお)くんが(ぬえ)化する運命を聞かされて、一瞬だけど我を失ったことがあったよね?

 ああ……
 だけど、星弥(せいや)がかけた言葉を聞いて君は冷静を取り戻した──様に僕には見えたのだけど
 ──よくわかんね。あの時は頭が真っ白だったから
 あの時、星弥(せいや)と君のキクレー因子が共鳴したんじゃないかと僕は考えている


 キクレー因子同士がリンクすることでお互いを正常に戻す作用があるのではないかと思うんだ

 ……
 さらに言うと、蕾生(らいお)くんが我を失った時、(はるか)くんと鈴心(すずね)も君に縋りついてなんとか(ぬえ)化させないようにしていたよね


 あれも同様の効果を本能的に君達が行ったんだと僕はみている

 なるほど……
 キクレー因子には恐らく正負両方の作用がある


 因子保有者の(はるか)くん、鈴心(すずね)星弥(せいや)が君を止めようとしたから君は止まることができた

 つまり、私達が星弥(せいや)に戻って欲しいと願えばいい、ということですか?
 そうは言っても、念じるだけで戻るとは思えないな


 僕らはこれまでキクレー因子のことなんて気にしたことなんかないし、あんた達みたいな不思議な力はないけど?

 ははっ、目に見える力だけが全てではないよ。君達は充分に不思議な力を持ってる


 ただ、その使い方を知らないだけだ。今回は僕がそれを引き出して使わせてもらう

 俺達は何をすればいいんだ?
 星弥(せいや)に触れて、あの子を想ってくれればいい。その道筋は僕が示す
 ──わかった
 ちょっと、ライくん、即答なの?
 だって銀騎(しらき)を助けるためにここに来たんだろ?
 そうだけどさ、もっとこう取引をさあ、せっかく恩に着せられるチャンスがさあ……
 そんな駆け引きやってるヒマなんかないだろ


 早く処置しないと、悪化したらどうするんだよ

 わかったよ、じゃあ銀騎(しらき)さんが無事に目を覚ましたらうんと恩着せてやろうっと
 ありがとう。君達の好意に感謝するよ
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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