4 ✿ 逃げろ、逃げろ、逃げろ

文字数 1,175文字

(逃げろ、逃げろ、逃げろ!!)

マリーは、自分に必死に言い聞かせる。


命からがら敵のアジトを飛び出したはいいが。

どこへ向かえばいいのです?

そもそも、ここはどこ!?

そうだ、空を飛べば…。

なにか、ホウキになりそうなものは……

路地に、それらしいものは見当たらなかった。
おなか…す、すいた…
息切れし、ふらふらしながら路地を歩き、表通りに出る。
はう!?

誰かとぶつかり、よろめく。


倒れかけたマリーの腕を、ぶつかった相手がつかんだ。

ごっ…めん、よそ見してて。

大丈夫か?

日本語…?

あなた、日本人ですか?

え? うん、そうだけど……。

外国人、だよね?

日本語、上手……すげえ。

マリーは日本のアニメや漫画が大好きである。

大学では日本語の授業を取っていた。

道を…教えてください。

ここはどこです?

どこの町ですか!?

ええと、ごめん。

俺詳しくなくてさ。

ここには観光で来たから

観光で来たのに、どこか分からない…ですと? この人も迷子ですか?)
マリーは、がっくりとうなだれた。
(役に立たんのです。立ち往生している間など無いのです! 他を当たりましょう)
マリーは立ち上がり、彼のそばをさっと通り過ぎた。
っ、待って!

マリーは人混みにまぎれてしまった。


少年が、ぽつーんと道の真ん中に突っ立っていると。

Hey!!

突然後ろから、知らない男に肩をつかまれた。


男は早口でなにかをまくしたてるが、少年は言葉が分からない。

そ、ソーリー。

アイドントスピーク、イングリッシュ。

これで通じるかな?

Huh?

まったく通じなかった。


相手の言葉は不明だが、ケンカ腰でなにか怒っているということは分かった。

だから! 俺は日本人!

日本語しか喋れねーんだよ、悪かったな。

俺が、なにかしましたか!?

ニホンジン…
なんと相手がカタコトの日本語でつぶやいたのだ。
ココを金髪のオンナがこなかったか
金髪?

チビオンナだよ!

見てネェのかって、キイテんだ!

(なんだコイツ。日本語で切り替えてくれたけど、すっげー失礼なヤツ!)
あー……あっちに、行きました

マリーが去った方角とは真逆を指さす。


走り去る男の背中へ「べ」と舌を出した。

さわがしいところだな……
おーい、良治りょうじ

修学旅行、同じ研修グループの友達が、買い物から戻ってきた。


少年たちは、朝野高校の生徒である。

良治。

おまえ、女の子と話してたろ?

店で支払いしてる時に見えたよ。

そのあと、強面の男とも

男は、なんかムカツクやつでさぁ

女の子には道を聞かれたけど、分かんないって答えた。

――なぁ、ここ、どこ? なんて町?

おまえ。迷子じゃねーんだから
行先決めたの、全部俺らだしな

だって俺、地図苦手だし。

英語も読めねーし。

これでも努力したんだぜ

ウソつけ

へへっ
良治とマリーの物語は

 第3作「魔女と球児」で読めます。


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登場人物紹介

帯刀 咲良  (たてわき・さら)


 高校2年生、剣術道場の娘。

ジョン・リンデン


イギリス人

インターポールの捜査官。

天羽 理々(あもう・りり)


高校2年生、咲良の親友

合気道部

ラルフ・ローゼンクランツ


ドイツ人

インターポールの捜査官。

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