プロット

文字数 1,753文字


 アリサは細腕で食堂を営む気丈な女の子。両親が病気で亡くなり、ひとりぼっちになってしまった。彼女に残されたのは、薄汚れた石の指輪。しかし、ある日やって来た使者はそれこそが血統が途絶えた「パトシェーン王国」の血族の証だと話す。国を再興するためにともに来てくれと泣き落とされたアリサは女王になるため王国に向かう。
 彼女が来たのは荒れ果てた王宮。彼女の前に現れたのはきらびやかなイケメン青年5人組。彼らは新たに選ばれた、彼女の補佐官であった。まずは王宮の掃除を皆で行うが、彼らの常識の無さや無能ぶりが露呈される。ついに切れたアリサは叫ぶ「あんた達、全員無能っ!」
 彼らは元々有能であったが、気位の高い北の魔女に傲慢な態度をとり、無能の呪いをかけられてしまっていると白状。意気消沈する彼らを慰めるため、アリサが手料理を振る舞うと全員が感激。まずはお忍びでリサーチ、協力してテイクアウトの店を作り、当座の王室運転資金を稼ぐことになる。

●無能5人衆●
メドベール:運動神経抜群の剣士、腕は良いが人が良すぎて泣き落としに弱い。
アレッサ:眼鏡の経済学者。すべて物事を金勘定で説明し、冷静すぎるため人望がない。
キリアンダー:薬師。慎重すぎて病人を前に本を調べ出すので、いつも迷って手遅れになる。
ベルカール:科学者、発明家。いつも夢想しすぎて上の空、うっかりミスで大騒動になる。
クリネオ:可愛いタイプの軍師。心は優しいのになぜか思いつく戦術がえげつない。(情け容赦なさ過ぎて、実用性がない)


 パトシェーン王国には、「国庫に金がない」「隣国と仲が悪い」「魔獣の来襲」と問題山積。
 隣国との争いが国境で勃発するが、クリネオの戦略は酷すぎて使えない。新しい考え方を導入しないといけない、とのことでアリサは、他の4人の補佐官の協力の下、戦術を練り国境から隣国を撃退する。
 戦争に巻き込まれた迷子を守って親に送り届けに行ったメトベールだが、そのすきにアリサは隣国の暗殺者に襲われて怪我を負ってしまう。自己嫌悪のあまり5人衆を抜けるメトベールだが、一夜の宿を借りた北の魔女の策略にかかって、「さらにお馬鹿さんになる呪い」をかけられてしまう。メトベールは魔女の呪いで気が楽になり王室に戻る。暗殺者の再度の攻撃を猛追で撃退するが「いくら働いても、辛くない~」と言って過労で倒れてしまう。
「自己管理くらいして。さらに無能になって帰ってきたわけ?」感謝しながらもあきれるアリサ。
 他の4人もそれぞれに事件が起こるが、脱力の無能ぶり。しかし、お互いの能力でかばい合い、アリサの采配もあってなんとか事件を解決していく。


 パトシェーン王国には5年に1度、特産の果樹を求めて魔獣が来襲していた。北の魔女が防いでいたが、彼女に頼って何もしない民衆にあきれて手を引いてしまった。魔獣を防ぐことができなくなったためこの国は衰退したのである。魔女に撃退をお願いしに行くも、魔女は取り合わない。業を煮やしたアリサは、自分たちの力でなんとかすると宣言し、その暁にはこの5人組から取り上げた「有能さ」を戻してやってほしいと頼む。
 魔獣に魔力を使わずに立ち向かうため。アリサと5人の補佐官、そして民衆は立ち上がる。補佐官達は「有能になるため」に頑張るが、その姿を見ていてアリサはあることに気がつく。

結 

 アリサ達はなんとか魔獣をコントロールすることに成功する。そして5人とアリサは再度魔女の前に立つ。
 実は魔女は生き別れになっていたアリサの祖母であった。立派になった彼女の姿に喜ぶ魔女。そして約束どおり魔女から知恵の欠片石を取り戻すアリサ。「これで我々ももとどおり有能にっ!」躍り上がって喜ぶ5人衆。しかし、アリサはそれを足で粉々にする。「ええええっ」驚愕の5人。「自分の欠点は、自分で克服してこその成長よ。こんな石の欠片に頼ってどうするの?」
 アリサの言葉に納得して努力を再開する5人。アリサは魔獣との戦いの中で、満月のように完璧な人間よりも、少しかけたところを補完しながら生きていく人間の方が強さがあると感じていた。
「でもね、本当はちょっとドジなみんなが好きなんだ」肩をすくめるアリサ。
 しかし。
「なんて、無能なの~~」今日も王宮にはアリサの叫びが響くのであった
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