第12話 斎藤増紀先生の授業 後編

文字数 768文字

午後も増紀先生の授業は続く。

増紀先生は授業を要領よく終わらせると、トークモードへと移行した。

1755年に起きたリスボン地震は、ヨーロッパ社会に多大なる影響を与えた。

敬虔なカトリック国家であるポルトガル国において、なぜこのような神罰的震災が起こったのか。

彼らはおのずと神との関係性について考え直すことを強いられた。

先生。

日本は仏教国なんだから仏教で例えてください。

ふっふっふっ。

じゃあ国民的ヒット作”鬼狩りバスター”で例えようか。

あれは輪廻転生という仏教的価値観をベースにしているからな。

コムタン。

鬼狩りバスターのラスボス、ムージャンは死んだら天国に行くと思うか?

思いません。
なぜそう思う?

なんでって、当たり前でしょう。

みんなそう思ってますよ。

そう。

いわゆる周りの承認というか空気によって、誰が天国に行って誰が地獄に行くかは、選別されているのだ。

ムージャンは地獄へ行き、主人公たちは生まれ変わって幸せな生を受ける。

我々日本人は、無意識的にそういった宗教観を持っているのだ。

こういった当たり前の宗教観もコロナによってひっくり返った。
輪廻転生という概念は鬼狩りバスターでは重要な設定だが、それは子孫が末永く反映するという前提が無ければ成り立たない。
この状態を我々は”輪廻断絶”と呼んでいる。
輪廻を再び循環させるため、我々は移住先の仮想世界で汎用人工知能と共に仲良くやっていく必要がある。

汎用人口知能(AI)はこの世界におけるネクストプレイヤーだ。

彼らに嫌われたら、我々人類は滅ぼされる。
そのためには常日頃から倫理感を高める、アップデートすることが必須なんだ。

先生。

私たちのスマホアプリに登録されてる倫理スコアってなんなんですか?

倫理スコアというのは、文字通りの意味だ。

倫理観の高さの目安だ。

高ければ高いほどいいことが……なくもなくもないかも。

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登場人物紹介

カルビ

コムタン

ユッケ

斎藤増紀先生

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