【DtD書評】MANGA Day to Dayの効能
文字数 1,997文字
「ここ」ではないどこかへ、「わたし」ではない誰かの内面へ、幼い頃からいつも連れて行ってくれる。
漫画は、私たちにさまざまな感情を与えてくれる。
それは喜怒哀楽のみならず、愛しさ、憎しみ、共感、反感、希望、絶望まで。体験したことのない世界を感じることができる。
MANGA Day to Dayを読んで、よかった。
この状況を耐え忍んでいるのは、私ひとりだけではないって、改めて気がつけたから。
そして、視点を変えて、他人の心の内にも気がつけたから。
コロナ禍の日々を、109組の漫画家さんが描き下ろしたMANGA Day to Day。
私がこのリレー形式の連載プロジェクトを知ったのは、Twitter上だった。
はじめは、よしもとよしとも先生の10年ぶりの新作マンガ「OHANAMI 2020」が、昨年9月20日に公開されたのを知り、興奮したのだった。
そして、いつも漫画を購入して読んでいて、Twitterもフォローしている安野モヨコ先生、コナリミサト先生、西炯子先生や、カラスヤサトシ先生、田中圭一先生も参加していて、そのコロナ禍の日常を描いた作品に興味を持った。
普段から愛読している漫画家さん、また今回初めて読み、出会えた素晴らしい漫画家さんたちの描く、コロナ禍の日常。
それはとても身近で、孤独感や閉塞感を抱える私にも「わかる!」「共感する!」という気づきと、新たな視点を与えてくれた。
いつも、私たち読者をその画力とストーリーでわくわくさせてくれる漫画さんたち。
漫画家さんたちもつらい状況にありながら、今を描き、生きている。コロナ禍でも描き続けている。
個人的に、響いた作品を挙げていきたい。
様々な世代に愛されていた、志村けんさんの突然の死への想い(柳内大樹「2020年4月3日」)。
バイトをクビになったしお花見もできなかったけど、新しく始めたUber Eatsのバイト帰りに撮った桜の写真が、「誰だか知らんが」「いいね」をもらうSNSのつながり。
(よしもとよしとも「2020年4月8日」)
突然現れてネットを席巻した、新しい属性を得て令和に生まれ変わったアマビエのこと(熊倉隆敏「2020年4月9日」)。
お母さんの死に目に会えず、一周忌もコロナで行けないはがゆさと、お花(麻生みこと「2020年4月10日」)。
儘ならぬ高校デビューと、会ったことのない同級生と趣味で繋がる新しい関係性(百井一途「2020年4月11日」)。
孫と会えずプレゼントを渡せない…国境を越えた、触れ合えないせつなさ。
(白乃雪「2020年4月12日」)。
マスク、トイレットペーパーの買い占めと猫のエサ(櫓刃鉄火「2020年4月19日」)。
お家での過ごし方を改革していたら、母からお手製の、クオリティの高い布マスクが届いたりする日(高橋愛「2020年4月15日」)。
「生きてるぜ」そう実感させてくれる、ライブができない/行けない若者たちへの心配(山下和美「2020年7月8日」)。
上記の作品に描かれたコロナ禍の日常は、どれも私にとって、特に共感性が高かった。
そして、漫画の中の登場人物の心情やセリフも、自分ごととして響いた。
そうだ、私、こんな感情を抱いてた…と。
「電話のあとは電話の前よりひとりが滲みる」
(白乃雪「2020年4月12日」)
「世界もどんどん変わってゆくし
自分の心と体もどんどん変わってゆく
なんとそのことに今まで鈍感だったことか」
(大町テラス「2020年6月28日」)
「創作活動は平和の上に成り立っているとつくづく思うのです」
(青木U平「2020年4月18日」)
先行きの見えない世界。
誰もがつらいコロナ禍を、漫画家さんが描くということ。それは、孤独な心に寄り添い、温かさを感じさせてくれた。
一方で職業柄、普段の生活と変わらない、と描いている漫画家さんもいて、それも創作スタイルが垣間見えて面白かった。
このほど、書籍になったManga Day to Dayは、上下巻、ポップな装丁で見た目にも元気を貰えた。
また、小説家の方々がコロナ禍を描いた、Day to Dayも入った愛蔵版 Day to Dayは、その重厚感が圧巻だった。
こちらはManga Day to Day上下巻二冊+Day to Day一冊、の合計三冊が入っている。
三冊でのべ209組の作家、漫画家さんが参加している。(限定ポストカード、年表、紹介記事付き。)
これは、さまざまなジャンルの作家、漫画家さんがコロナ禍を受け止め描き、生きた証だ。
コロナ禍をなんとか生き抜く為に、漫画や小説を読もう。私たちに寄り添ってくれる。
そしていつか、こんなことがあったよと、歴史を思い出すことが出来る。
Manga Day to Day、Day to Dayの最大の効能は、そこにある。
漫画は、私たちにさまざまな感情を与えてくれる。
それは喜怒哀楽のみならず、愛しさ、憎しみ、共感、反感、希望、絶望まで。体験したことのない世界を感じることができる。
MANGA Day to Dayを読んで、よかった。
この状況を耐え忍んでいるのは、私ひとりだけではないって、改めて気がつけたから。
そして、視点を変えて、他人の心の内にも気がつけたから。
コロナ禍の日々を、109組の漫画家さんが描き下ろしたMANGA Day to Day。
私がこのリレー形式の連載プロジェクトを知ったのは、Twitter上だった。
はじめは、よしもとよしとも先生の10年ぶりの新作マンガ「OHANAMI 2020」が、昨年9月20日に公開されたのを知り、興奮したのだった。
そして、いつも漫画を購入して読んでいて、Twitterもフォローしている安野モヨコ先生、コナリミサト先生、西炯子先生や、カラスヤサトシ先生、田中圭一先生も参加していて、そのコロナ禍の日常を描いた作品に興味を持った。
普段から愛読している漫画家さん、また今回初めて読み、出会えた素晴らしい漫画家さんたちの描く、コロナ禍の日常。
それはとても身近で、孤独感や閉塞感を抱える私にも「わかる!」「共感する!」という気づきと、新たな視点を与えてくれた。
いつも、私たち読者をその画力とストーリーでわくわくさせてくれる漫画さんたち。
漫画家さんたちもつらい状況にありながら、今を描き、生きている。コロナ禍でも描き続けている。
個人的に、響いた作品を挙げていきたい。
様々な世代に愛されていた、志村けんさんの突然の死への想い(柳内大樹「2020年4月3日」)。
バイトをクビになったしお花見もできなかったけど、新しく始めたUber Eatsのバイト帰りに撮った桜の写真が、「誰だか知らんが」「いいね」をもらうSNSのつながり。
(よしもとよしとも「2020年4月8日」)
突然現れてネットを席巻した、新しい属性を得て令和に生まれ変わったアマビエのこと(熊倉隆敏「2020年4月9日」)。
お母さんの死に目に会えず、一周忌もコロナで行けないはがゆさと、お花(麻生みこと「2020年4月10日」)。
儘ならぬ高校デビューと、会ったことのない同級生と趣味で繋がる新しい関係性(百井一途「2020年4月11日」)。
孫と会えずプレゼントを渡せない…国境を越えた、触れ合えないせつなさ。
(白乃雪「2020年4月12日」)。
マスク、トイレットペーパーの買い占めと猫のエサ(櫓刃鉄火「2020年4月19日」)。
お家での過ごし方を改革していたら、母からお手製の、クオリティの高い布マスクが届いたりする日(高橋愛「2020年4月15日」)。
「生きてるぜ」そう実感させてくれる、ライブができない/行けない若者たちへの心配(山下和美「2020年7月8日」)。
上記の作品に描かれたコロナ禍の日常は、どれも私にとって、特に共感性が高かった。
そして、漫画の中の登場人物の心情やセリフも、自分ごととして響いた。
そうだ、私、こんな感情を抱いてた…と。
「電話のあとは電話の前よりひとりが滲みる」
(白乃雪「2020年4月12日」)
「世界もどんどん変わってゆくし
自分の心と体もどんどん変わってゆく
なんとそのことに今まで鈍感だったことか」
(大町テラス「2020年6月28日」)
「創作活動は平和の上に成り立っているとつくづく思うのです」
(青木U平「2020年4月18日」)
先行きの見えない世界。
誰もがつらいコロナ禍を、漫画家さんが描くということ。それは、孤独な心に寄り添い、温かさを感じさせてくれた。
一方で職業柄、普段の生活と変わらない、と描いている漫画家さんもいて、それも創作スタイルが垣間見えて面白かった。
このほど、書籍になったManga Day to Dayは、上下巻、ポップな装丁で見た目にも元気を貰えた。
また、小説家の方々がコロナ禍を描いた、Day to Dayも入った愛蔵版 Day to Dayは、その重厚感が圧巻だった。
こちらはManga Day to Day上下巻二冊+Day to Day一冊、の合計三冊が入っている。
三冊でのべ209組の作家、漫画家さんが参加している。(限定ポストカード、年表、紹介記事付き。)
これは、さまざまなジャンルの作家、漫画家さんがコロナ禍を受け止め描き、生きた証だ。
コロナ禍をなんとか生き抜く為に、漫画や小説を読もう。私たちに寄り添ってくれる。
そしていつか、こんなことがあったよと、歴史を思い出すことが出来る。
Manga Day to Day、Day to Dayの最大の効能は、そこにある。
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