第3話   だんじり祭り 3

文字数 3,255文字

 ※


 坂田さんと魔樹先導の元、神社へ向かうと、お祭り会場が近づいているのか、だんじりのジャカジャカ鳴る音があちらこちらから聞こえる。


 地元で見かけたような神輿があらゆる方向に見えると、確かに地元とは規模が違うと感じるのであった。


 そして人の多さには驚いた。

 こりゃ坂田さんの言う通り、ももまろを連れてこなくて正解だ。

どっち? このまま真っ直ぐですか?
あっ……はいっ!

手を繋いじゃった……ふ、ふぉ……

ごめん、まゆちん。私の方が魔樹王子との関係が進展してしまうなんてっ!

 いつの間にか魔樹は坂田さんと手を繋いでいた。

 そうでもしないとはぐれちまったら大変だからな。


 その時、美優ちゃんがちょこちょこっと俺の袖を持つ。

あのね。祭りで蓮くんに逢ったら、じいじがこれを渡してって言うのです
 何だろうと思ったら、美優ちゃんの財布から出てきたのは、諭吉じゃねーか!

じいじがね。蓮くんに渡してねって言うの。

ぱーっと遊んで来いよって言ってました。なのでぇどぞ!

おぉ! マジですか。

あ、ありがとぉございます!

 これで気兼ねなく祭りを堪能できるぜ。

 じいじ。ありがとぉ~~! 


 華凛もめちゃくちゃ喜んでやがる。本来なら二千円で限られた事しか出来なさそうだったのに……本気でじいじに感謝する黒澤家であった。


 今度喫茶店に出勤した時に、あのつるっぱげ頭を撫で撫でしてやらねば。




 さて。こちらも美優ちゃんと華凛と手を繋ぐ。

 楓蓮用の服を入れた鞄も持ってるので、両手を塞がれながらの移動となる。

今日はポニテなんですね。グッとくるものがありますよ
あふ、あわっ……
やっぱ俺がやるのとは違いますね。綺麗に纏めるもんだ。
じゃあ、今度。楓蓮さんの時に、お教えしましょうか?
是非お願いします。ちょっとづつ女の子にも慣れないと。ですね
は、はひぃ……

 ん? 何だか美優ちゃんも様子がおかしい。そんな気がする。

 基本彼女は褒めてもあまり態度を変えたりしないんだが……



美優っ!
はぁ~~い。ここにいますよ!
黒澤っ。頼むっ!
お~いえ~~!

 だれた返事で返すが、内心は凄く嬉しかったりする。

 美優ちゃんを任された俺は自然と笑顔になった。


 おっと。悦に入ってる間にかなり離れてしまった。先に行く魔樹を見失わないように、時には強引に進まないと進めなくなってきたぞ。

華凛。肩車してやる
わぁ~~い!
美優ちゃんは俺の背中に引っ付いて下さい。俺が掻き分けて進みます
……はひっ!

 こりゃ本当に満員電車だな。すげー人だかりだ。

 坂田さんの助言どおり、ももまろを連れてこなくて正解だ。絶対押し潰される自信がある。


 何とか国道まで出ると神社が見えてきた。入り口には屋台が見え始めると、みなのテンションが上がってゆく。



 ここまで来ると、意外とすし詰めのような状態ではなくなった。それでも人が多いのには変わらないが、先程よりも随分マシになってきた。


 神社の入り口で待っていた魔樹と坂田さんに合流すると、ここで華凛を降ろした。

クラスのみんなも来てるらしい。一緒に行ってみる?
黒澤も顔だしなよ~。そのまま一緒に遊んでもいいし

 う~ん。俺はぶっちゃけ屋台が目的……とは言えない。

 ここまで連れてきてもらったし、断るのも悪い。

そうしよっか。みながいるなら一応顔を見せないと
うんうん! みんなでお祭り堪能しましょ!

 少し屈んで華凛に「屋台は後にしよう」と言うと「うん!」と、良い返事が帰って来た。


 俺はお前が暇になるんじゃないかと心配したが、美優ちゃんも華凛に言い聞かせる。

華凛ちゃん。後で私とも一緒に遊ぼうね
 美優ちゃんはそう言って華凛と手を繋ぐと、俺に向かってウィンクしてくれる。



 ああ、ありがたい。

 

 華凛の面倒を見れるのは俺だけだったが、こうやって美優ちゃんも協力してくれるのに、俺は素直に感謝するのであった。



 以前とは違う安心感。


 それは俺たちの正体を知っても尚、仲良くやってくれる二人のおかげだ。


 ※

わぁっ。凄いよっ! お兄ちゃん! 屋台がいっぱいある!
なんだこれ。す、すげー多いぞ。おい華凛! こっちの列にもあるぞ
凄い数ですね。こんな大きなお祭りさん。初めてですっ!

 神社の中に所狭しと立ち並ぶ屋台。その多さに驚く三人組であった。
何か食べたいっ! 焼きそば!
まぁまて。後でな。まずは合流せねば

 早く行かなきゃ、人だかりの中、魔樹と坂田さんを見失っちまう。

 ここでロストしちまったら帰れねーなどと思っていると、先を行く二人の周りに現れたのは、クラスの連中だった。

お、いたいた。西部に真鍋に、高坂と梶谷くんか
米山しゃんに、清原さん。三輪さんも……いっぱいです!

 なんだこれ。こんなに沢山いるのかよ。


 だけどだんじり祭りにこれだけ集まるって事は、やっぱり地元の人間にとって馴染み深い祭りなのだろう。

ああっ! 白竹さんっ!
ほんとだ。来てくれたんですね

 美優ちゃんを発見するなり、早速まとわりつく男性陣。

 そんな中、西部だけが俺に突っかかってくる。

何でお前が白竹さんと一緒に来てるんだ? 理由を述べよ
偶然逢っただけだよ。それ以上でもそれ以下でもない

そうかい。それは分かった。

で……この可愛い子は何者? 何処で拾ってきたんだよ

 おいおい西部。どこに照準を当ててんだ?
本当だ。めちゃ可愛くない?
黒澤とどういう関係?
やばいな。絶対美人になるだろ

 ああっもう! そんな事を言うと……

 ほらみろ。華凛が俺の後ろに隠れちまったじゃないか。

俺の従兄妹だよ。シャイだからあんまり言わないでくれよ
 と、フォローするが、西部にいたっては俺の後ろに隠れる華凛をガン見してやがる。

気のせいか……あのおっぱいは……

もしかして爆乳確定のつぼみおっぱい※ でわ?

華凛ちゃん。こっちおいで

 美優ちゃんが呼ぶと、本当に行ってしまった。

 しかも彼女の腰辺りに巻き付いてしまい、顔を隠す始末。

え? ちょ! あの白竹さんに……何で黒澤の妹ちゃんが……
 意味が分からないといった男性陣だったが、

ふふっ、華凛ちゃんとはとっても仲良しなんですよぉ。

私も彼女のお姉さんに、と~ってもお世話になってるのでし

あっ! それって黒澤のねーちゃん?
そそそ。楓蓮お姉さまでございます。ね~華凛ちゃん
うん! お姉ちゃんと仲良しだもんね

 返事をしてから華凛はこちらに向き直ると、さっきまでの恐怖心は無くなったらしい。


 恥ずかしそうな顔は見せてるが、美優ちゃんの腰にがっちり巻きついていた。

え? 黒澤の妹? 可愛い!

あ~。だから美人すぎる妹ちゃんなんだね

黒澤のお姉さんも美人って聞くから。

おい黒澤。悪いことは言わん。ねーちゃんを紹介しろ
無理だっつーの。ってか紹介するだけ無駄だ

 西部の相手をしつつ、ふと魔樹の方を見てみると……



 おいおい。えらいことになってるぞ。

 女子生徒に囲まれる魔樹は、既に縦線が生えていた。

魔樹くん。一緒に神社回ろうよ
で、今日はさおりんと一緒に来たの?
……困ったなぁ

ううん。違う違う! 

本当に偶然逢っただけなんだから。ね? 魔樹くん?

ほんとですか? 魔樹くん。

さおりんに誘われたわけじゃなくて?

ほんとだよ。ここまでの道のりが分からなくて……助かったよ。
そ~なんですね。それなら私に連絡くれれば良かったのに。

まゆちんがアサルトモードになってるからまた後で話そう。


あ~。魔樹王子と手を繋いだこの右手は……使いたくないでご・ざ・る~

 まさにハーレムとはこの事だな。


 だけど……そいつの中身は女なんだけど。

 よ~~しっ! みんな! そろそろ移動すっか!

 ここにだんじり祭り屋台練り歩きツアーを開催いたしますっ!

 勝手に仕切りだした西部だったが、みんな素直に頷いた。

 確かに。ずっとこの場所でたむろしててもしょーがないし、屋台を楽しもうじゃないか。

――――――――――――――


 爆乳確定のつぼみおっぱい※ 第一部 82話 おっぱい職人2 より。

 

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色