第1話

文字数 565文字

 私は、同級生の中で一番先に16歳になる。今のところ、誕生日が4月2日なのは、ちょっと自慢だけど、若さを最上と考える美紀は、「えー、もう年取ったの?おばんじゃん。」とすぐに私をからかってくる。

 そんな美紀とも、学校が分かれてしまった。春休み生まれは、いろいろと複雑だ。クラスメイトは、次の学年でもクラスメイトになるとは限らないし。そんな人に、わざわざ家までやってきて誕生祝をしてくれるようなやつはいない。その上、新しくクラスメイトになった人に誕生日いつ?と聞かれると、「もう過ぎちゃった。4月2日なの。」となるので、お互い呼び合うのが前提のお誕生会には、呼んでもらえなかったし。

 当然だけど、まだ入学もしていないので、クラスもわからない高校の1年何組だかの友達なんて、まだ誰もいない。あーあ、なんだって4月2日なんかに産んだの、母さん。

 家族は仕事に行ってしまい、弟は部活に行ってしまい、誕生日だっていうのに一人寂しい令和6年4月2日午後2時。中学生ではなくなって、と言っても高校生でもない私は、一人ぶつくさ言っている。全国の4月2日生まれ、みんななにしてるー?

 ぴんぽーん!!


 なあに?宅配?


「おーい!!うづきー!!おばんになったお祝いに来てあげたよー。」

 美紀の元気な声が聞こえた。今年は、特別サービスらしい。美紀、ありがと。
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