2020年8月1日

文字数 623文字

 用事があって西宮へ出かけることにし、神戸市内から上りの普通電車に乗った。
 神戸市の最も東、東灘区を抜けると、電車は芦屋市に入る。
 芦屋駅へ到着する直前、普通電車は左右に大きく揺れる。だから乗客は注意せよ、という車内放送が流される。
 しかしその次に流されるメッセージは、コロナ前と後ではすっかり様変わりしてしまった。
 コロナ前であれば、こうであった。
「芦屋駅に停車中は、車内温度維持のために、ドアはすべて閉じたままとします。お降りのお客様は、ドアわきのボタンを押してドアを開けてください」
 見れば、いつの間に設置したのか、ドアのすぐ横には丸く小さなボタンが取り付けてあり、「開」、「閉」と書かれている。
 つまり快速待ちのために芦屋駅には数分間停車するから、ドアはできるだけ閉じたままを保ちたいということなのだ。
 それがコロナ後は、こう変わった。
「車内換気のため、ドアはすべて自動で開きます」
 快速待ちを行う芦屋駅でも、停車時間の短い普通の駅と同じ扱いをするということなのだ。
 両開きの大きなドアが、電車1台につき4つあり、それが7両編成だから、合計で28カ所。
 これがいっぱいに開いたままになるのだから、夏のクーラー、冬の暖房のききが落ちるのは当然であろう。
 私は宗教的な人間ではないから、『試練』などという言葉は使わないけれど、それでもあと1年か2年、寒かったり暑かったりする車内には、あまり不平を述べないことで、ささやかな協力をしようと思う。
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