第21話 竜蹟碑とアークワン
文字数 2,478文字
僕はガイアさんと移動中。
大蛇の背中に乗り、森の中を進む。
「朝陽、大丈夫?」
(えっ?)
鎧から声がした。驚いた。ガイアスピリットのエルだ。鎧の正体が双子の姉だった。
「驚いた? これが本当の精霊の加護なのよ」
「うん、驚いたよ。それで帰ってきたのが一人だったんだね。おかしいと思っていたんだ」
「うふふ、バレていたのね。・・・私は朝陽と一緒に戦う。指一本触れさせは、しないわよ」
「ありがとう。よろしく頼みます」
「・・・そんな他人行儀な挨拶は要らないわよ。私が絶対に朝陽を守るから安心してね」
「うん」
僕は笑顔で答えた。彼女は顔が赤くなり、照れているようだった。姿を小さくして僕の肩に乗っている。
(・・・可愛い)
それにしても竜蹟碑とは何が書かれているのだろう。碑文として残さないといけなかったのか?
「始原の炎」を操る竜、アークワンを果たして止めることが出来るのだろうか?
父さんなら、どうしただろう。父さんに誉めてもらえるかな? 薄情だと思われないかな?
アークワンを止めないと世界が消えるんだ。父さんも家族より、この世界の平和を選ぶよね。
(朋子、そっちは頼んだよ)
「ところでガイアさん、竜蹟碑を読むことが出来るのですか?」
「あぁ、伊達に永く生きていないからな。それくらい分かるさ。心配するな。それにレガリアヴェヒターが翻訳してくれるからな」
「レガリアヴェヒターとは何者ですか?」
「竜蹟碑を守る竜だ」
「? 戦わないといけないのですか?」
「・・・それは、どうかな? 朝陽次第だろう」
(参ったな)
僕はアークワンを止めたいだけだ。レガリアヴェヒターさんと戦いたい訳ではない。無駄に傷つくのは避けたい。体力も温存したい。
浮遊する島を飛び移り、また移動。端まで移動するとまた飛び移り、繰り返すこと数十回。一番奥の島へやって来た。そこは見たこともない空間だった。
そこには聞いていた通り、巨大な竜が輝く石を守っていた。
(・・・寝ているのかな?)
「レガリアヴェヒター、起きよ!」
「・・・うーん。誰だ?」
「寝ぼけているなら、起こしてやろう!」
ガイアさんは浮遊する岩や大地の一部をレガリアヴェヒター目掛けてぶつけた。
「うわっ、止めてくれー」
「目覚めたか? レガリアヴェヒター」
「が、ガイア様ですか? 失礼しました」
「・・・相変わらずだな。お前」
「ハハハ、・・・ガイア様こそ。いつもお美しい」
(何だ、知り合いだったのか・・・)
心配して損をした気分だった。
「お世辞は良い。レガリアヴェヒターよ。お前は気づいたか? アークワンが遂に動き出したぞ」
「・・・勿論です。ガイア様、何とかしてください。世界が終わります」
「お前は、相変わらずだな。・・・まー、いい。今日はその件で、ここに来たのだ」
「・・・私に無理矢理止めろと? それはガイア様。パワーハラスメントです」
「誰もお前に頼んでない。どうせ無理だからな」
「・・・そうでした。スミマセン」
(レガリアヴェヒターさん。威厳ゼロだな)
やはり僕が何とかしないといけない。
「ところでガイア様。その人間は食べてもいいのですか?」
「・・・お前にそれが出来るならな。やってみるがいい」
レガリアヴェヒターさんが僕に向かって襲いかかってきた。
「・・・朝陽、すまんな。実力を見せてやれ」
本気で攻撃していいとガイアさんに言われた。
(よく分からないけど、レガリアヴェヒターさん。ゴメン)
「カムイ無双流・砕拳」
「な、なにー。イテテ。やるじゃないか、人間」
「僕の名前は『朝陽』だ」
「・・・そうか、よく分かった。協力しよう」
(えっ?)
今ので何が分かったの? 僕の方が分からない。説明して欲しい。レガリアヴェヒターさん。
「昔から言うではないか。『拳で語れ』とな」
(はあ?)
一方的に僕が殴っただけじゃないか? それで語ったことになるの?
ひょっとしたらレガリアヴェヒターさん。ポンコツなのか?
(・・・まー、いいか。深く考えないでおこう)
協力すると言ってくれたんだ。今回は、それでいい。
「レガリアヴェヒターよ。朝陽の実力が分かっただろう。碑文の中身を教えてやってくれ」
ガイアさんはレガリアヴェヒターさんに催促した。
「分かりました。ついてこい。朝陽」
「はい」
僕はレガリアヴェヒターさんの背中に乗って竜蹟碑の周りをグルグルと回った。文字が書いてあるのが見える。解読は出来なかった。見たことのない文字。
「レガリアヴェヒターさん。あの文字を読みたいけど翻訳できないかな?」
「出来るぞ」
僕はそこに刻まれた碑文を知った。この世界を創造した神様が、後世のことを憂い、アークワンのことを教えてくれた物だった。
「レガリアヴェヒターさん。ありがとう。僕はアークワンを止めてみせるよ」
「・・・そうか。なら、これを持っていけ」
渡されたのは、「創造の輝石」と呼ばれる球体だった。レガリアヴェヒターさんが言うには、アークワンを攻略するために必要な物らしい。まだ何か隠された力があるようなことを言っていたが、レガリアヴェヒターさんも、よく分かっていない。
(ヤッパリ、ポンコツだ)
僕達はレガリアヴェヒターさんと別れ、冥府を目指した。創造の輝石はズボンの後ろポケットに入れた。
(朋子は冥府へ着いたかな? 無事で、いろよ。今、行くからな)
「朝陽、そんなに家族が心配か? ・・・それなら私の力で飛ばしてやれるが、どうする?」
勿論、僕の答えは決まっている。
「ガイアさん、お願いします。僕を冥府へ、父さんの元へ飛ばして下さい」
「よかろう。アークワンに気をつけるのだぞ」
「はい」
ガイアさんは、ブツブツと分からない言語を詠唱。
僕の身体は光の球体に包まれ、その場から消えた。
大蛇の背中に乗り、森の中を進む。
「朝陽、大丈夫?」
(えっ?)
鎧から声がした。驚いた。ガイアスピリットのエルだ。鎧の正体が双子の姉だった。
「驚いた? これが本当の精霊の加護なのよ」
「うん、驚いたよ。それで帰ってきたのが一人だったんだね。おかしいと思っていたんだ」
「うふふ、バレていたのね。・・・私は朝陽と一緒に戦う。指一本触れさせは、しないわよ」
「ありがとう。よろしく頼みます」
「・・・そんな他人行儀な挨拶は要らないわよ。私が絶対に朝陽を守るから安心してね」
「うん」
僕は笑顔で答えた。彼女は顔が赤くなり、照れているようだった。姿を小さくして僕の肩に乗っている。
(・・・可愛い)
それにしても竜蹟碑とは何が書かれているのだろう。碑文として残さないといけなかったのか?
「始原の炎」を操る竜、アークワンを果たして止めることが出来るのだろうか?
父さんなら、どうしただろう。父さんに誉めてもらえるかな? 薄情だと思われないかな?
アークワンを止めないと世界が消えるんだ。父さんも家族より、この世界の平和を選ぶよね。
(朋子、そっちは頼んだよ)
「ところでガイアさん、竜蹟碑を読むことが出来るのですか?」
「あぁ、伊達に永く生きていないからな。それくらい分かるさ。心配するな。それにレガリアヴェヒターが翻訳してくれるからな」
「レガリアヴェヒターとは何者ですか?」
「竜蹟碑を守る竜だ」
「? 戦わないといけないのですか?」
「・・・それは、どうかな? 朝陽次第だろう」
(参ったな)
僕はアークワンを止めたいだけだ。レガリアヴェヒターさんと戦いたい訳ではない。無駄に傷つくのは避けたい。体力も温存したい。
浮遊する島を飛び移り、また移動。端まで移動するとまた飛び移り、繰り返すこと数十回。一番奥の島へやって来た。そこは見たこともない空間だった。
そこには聞いていた通り、巨大な竜が輝く石を守っていた。
(・・・寝ているのかな?)
「レガリアヴェヒター、起きよ!」
「・・・うーん。誰だ?」
「寝ぼけているなら、起こしてやろう!」
ガイアさんは浮遊する岩や大地の一部をレガリアヴェヒター目掛けてぶつけた。
「うわっ、止めてくれー」
「目覚めたか? レガリアヴェヒター」
「が、ガイア様ですか? 失礼しました」
「・・・相変わらずだな。お前」
「ハハハ、・・・ガイア様こそ。いつもお美しい」
(何だ、知り合いだったのか・・・)
心配して損をした気分だった。
「お世辞は良い。レガリアヴェヒターよ。お前は気づいたか? アークワンが遂に動き出したぞ」
「・・・勿論です。ガイア様、何とかしてください。世界が終わります」
「お前は、相変わらずだな。・・・まー、いい。今日はその件で、ここに来たのだ」
「・・・私に無理矢理止めろと? それはガイア様。パワーハラスメントです」
「誰もお前に頼んでない。どうせ無理だからな」
「・・・そうでした。スミマセン」
(レガリアヴェヒターさん。威厳ゼロだな)
やはり僕が何とかしないといけない。
「ところでガイア様。その人間は食べてもいいのですか?」
「・・・お前にそれが出来るならな。やってみるがいい」
レガリアヴェヒターさんが僕に向かって襲いかかってきた。
「・・・朝陽、すまんな。実力を見せてやれ」
本気で攻撃していいとガイアさんに言われた。
(よく分からないけど、レガリアヴェヒターさん。ゴメン)
「カムイ無双流・砕拳」
「な、なにー。イテテ。やるじゃないか、人間」
「僕の名前は『朝陽』だ」
「・・・そうか、よく分かった。協力しよう」
(えっ?)
今ので何が分かったの? 僕の方が分からない。説明して欲しい。レガリアヴェヒターさん。
「昔から言うではないか。『拳で語れ』とな」
(はあ?)
一方的に僕が殴っただけじゃないか? それで語ったことになるの?
ひょっとしたらレガリアヴェヒターさん。ポンコツなのか?
(・・・まー、いいか。深く考えないでおこう)
協力すると言ってくれたんだ。今回は、それでいい。
「レガリアヴェヒターよ。朝陽の実力が分かっただろう。碑文の中身を教えてやってくれ」
ガイアさんはレガリアヴェヒターさんに催促した。
「分かりました。ついてこい。朝陽」
「はい」
僕はレガリアヴェヒターさんの背中に乗って竜蹟碑の周りをグルグルと回った。文字が書いてあるのが見える。解読は出来なかった。見たことのない文字。
「レガリアヴェヒターさん。あの文字を読みたいけど翻訳できないかな?」
「出来るぞ」
僕はそこに刻まれた碑文を知った。この世界を創造した神様が、後世のことを憂い、アークワンのことを教えてくれた物だった。
「レガリアヴェヒターさん。ありがとう。僕はアークワンを止めてみせるよ」
「・・・そうか。なら、これを持っていけ」
渡されたのは、「創造の輝石」と呼ばれる球体だった。レガリアヴェヒターさんが言うには、アークワンを攻略するために必要な物らしい。まだ何か隠された力があるようなことを言っていたが、レガリアヴェヒターさんも、よく分かっていない。
(ヤッパリ、ポンコツだ)
僕達はレガリアヴェヒターさんと別れ、冥府を目指した。創造の輝石はズボンの後ろポケットに入れた。
(朋子は冥府へ着いたかな? 無事で、いろよ。今、行くからな)
「朝陽、そんなに家族が心配か? ・・・それなら私の力で飛ばしてやれるが、どうする?」
勿論、僕の答えは決まっている。
「ガイアさん、お願いします。僕を冥府へ、父さんの元へ飛ばして下さい」
「よかろう。アークワンに気をつけるのだぞ」
「はい」
ガイアさんは、ブツブツと分からない言語を詠唱。
僕の身体は光の球体に包まれ、その場から消えた。