第3話 かつての仲間達と再会
文字数 3,262文字
ホッとした。よかった、村が見える。そこに着くと門番に話をした。
「ブルハ殿かアムルガルは、いませんか?」
そう話をしている時だった。声が気になったのだろう。懐かしい顔を見た。小さき竜人。頼りになる友人。
「よう、オテロじゃないか? 久しぶりだな」
「相変わらず、元気そうだな。アムルガル」
「その子はどうしたんだ?」
「この子は愛娘の『朋子』。横にいるのが私の妻だよ」
「久しぶりね。アムルガル」
「えっ、オイラ。こんな美女に会っていたかな? 絶対に忘れないと思うんだけどな。いつだったのかな?」
「彼女はデズデモナだよ」
「えっ、あの白猫のピンクマスクかよ」
「そうよ。驚いた?」
「驚くさ。中身がこんな美女だったとはな。オテロ、上手くやりやがったな。うらやましいぞ」
泣くアムルガル。袖で涙を拭いていた。
「その子は母親似の美人でよかったな」
「そうなんだけどね。子育ては大変だよ」
「ははは、そうだろうな。良からぬ悪い虫が寄ってきそうだ。この世界にいる間はオイラがその子を守ってやるよ」
「頼めるかい?」
「もちろんだ。今日はオイラの家に泊まって行けよ。なっ、なっ、そうしろよ」
助かった。野宿をしなくてもよさそうだ。
「ありがとう。頼めるかい?」
「水くさいぞ。オイラとオテロの仲じゃないか。そうだろう。遠慮するなよ」
「そうだね。助かるよ」
「ちょっとだけ、待っていてくれ。掃除をしてくる」
「そんなに気を使わなくっていいよ」
「バカ野郎。オテロのためじゃないさ。美女二人のためだよ」
「ありがとう、アムルガル。見かけによらず、紳士なのね」
「いやー、照れるなー。それじゃあ、ちょっと行ってくる」
アムルガルは家に走って行った。そこにイモードラ、ランドタイラント、ムスタバ兄弟の姿を見ることができた。皆であわただしく、掃除をしていた。久しぶりに見た姿に涙がこぼれ落ちそうだった。
待ちぼうけをすること、三十分ほどだろうか?
アムルガルは帰ってきた。
「お待たせ、それじゃあ、行こう」
仲間の家に着いた。アムルガルが私達を紹介した。
「お前ら、驚くなよ。コイツがオテロの中身の人間だ。美女の方がデズデモナの中身の人間だ。それとこの子が二人の子供だ」
「アムルガル、脳がおかしくなったモイ」
「そうなのだ」
「・・・」
信用されないアムルガル。呆れられていた。それはそうかもしれない。アムルガルはこの姿を知っているが、イモードラ達は知らない。オテロといえば、黒猫だと思っている。
「この声に聞き覚えはないかい?」
「オテロ、オテロなのか?」
「そうだよ。また君達に会えてうれしいよ」
「オテロー。会いたかった」
皆に抱きつかれた。ガマンしていた涙が止まらない。朋子はそれで起きた。ゆっくりとおろした。
「もう、パパ。汚い、泣くか鼻水をかむか、どっちかにしなさいよ。恥ずかしい。・・・って、キャー。竜がいる。パパ、何とかしてよ。た、食べないで。私は美味しくないわよ」
「朋子、大丈夫だよ。落ち着いて。その竜とカエルは私の仲間なんだ。そして彼がアムルガル。今日はここに泊めてもらうことにしたからね」
「よ、よろしくな、朋子ちゃん。オイラ、アムルガルです。何かあったら、オイラに言ってください」
「・・・よろしくお願いします。アムルガルさん」
「よかったな。アムルガルさん」
「オ、オテロ。からかうなよ」
「ははは、冗談だよ」
照れるアムルガル。うーん? アムルガルは朋子にホレたのだろうか? まー、しばらくはソーッと見守るか? いくらアムルガルでも、許せないことはあるんだからな。朋子と妻を襲ってみろ、許さないぞ。
「オイラの焼き芋、食え。ふーふーするんだぞ」
イモードラは朋子と妻に焼き芋を配った。妻が一口、食べる。
「美味しいわ、ありがとう」
「彼の名前はイモードラ。焼き芋の伝道竜だよ」
「よろしくモイ」
ランドタイラントと目が合った。「紹介しろよ」と言わんばかりの目。仕方がない、仲間だからな。
「こっちの竜がランドタイラント。オーラの竜なんだ」
「オイラは小さくても役に立つ竜なのだ」
ムスタバは朋子と妻に焼けた肉と取れたてフルーツをお盆に乗せて目の前に置いた。
「彼らはムスタバ兄弟だよ」
嬉しそうにダンスを踊っている。
紹介に疲れてしまった。興味があるのは彼女達のことなんだろう。二人には豪華な食事だったが、私にはチョコンと適当に置かれていた。何だろう、この扱いの違い。仲間だよね。仲間不信になりそうだ。
「どうしたアムルガル。楽しそうだな」
ブルハ殿が入ってきた。手に酒の入れ物を持っている。
「ジジイ、こっちがオテロだ。中身の方。それと奥さんと娘さんだ」
「ブルハ殿、ご無沙汰しております。今日はアムルガルの好意で泊めてもらうことになりました。よろしくお願いします」
「その声は正しくオテロ殿。いつもの黒猫の姿ではないのですな。いや、この姿の方が本当の姿ですかな? ほほほ、ゆっくりとしていってください」
「ありがとうございます」
「それにしてもオテロ殿。うらやましい。絶世の美人の奥様と娘さんがいるなんて。なるほど、こちらの世界の女性陣に振り向かないハズですな。納得です」
「ブルハ殿・・・」
「長生きするものですな。ありがたや、ありがたや」
ブルハ殿は拝んでいる。イヤイヤ、妻と娘は女神ではないんだけど・・・。まー、いいか。否定するのも面倒だ。それにしても・・・スゴいな。そりゃ、芸能界にスカウトされるよな。改めて、認識をした。美人の妻、可愛い愛娘。
「オテロ殿、お酒でもどうですかな?」
「ありがとうございます。いただきます」
ブルハ殿と妻の三人で呑んだ。会話が弾む。妻と一緒に呑むなんていつ以来だろうか? ちょっと、うれしい。
「ところで、オテロ殿。今回はどうしてここに来られたのですかな?」
「実は、ブルハ殿。私の息子の『朝陽』がこの世界へやってきているのではないかと家族で捜しに来たのです。協力願えないでしょうか?」
「もちろん、そういうことなら協力しましょう」
「皆も手伝ってくれないか?」
「任せろ、またオテロと冒険だ。必ず見つけてやる」
やはり、頼りになるのは、仲間だ。ここに来て正解だった。
「オテロ、お前の名前の付いた街へ行こうぜ。他の仲間にも手伝ってもらったらどうだ?」
「そうしよう。人数は多い方がいいからね」
「そうと決まったら、もう寝ようぜ。明日は夜明け前に出発だ」
「『月』と『朋子』は疲れただろう。ゆっくりお休み」
「あなたはどうするの?」
「久しぶりにイモードラ達にくっついて寝ることにするよ」
「パパはこの世界でそうして寝ていたの?」
「そうだよ」
「・・・私も一緒に寝たらダメかな?」
「えっ、『朋子』。竜が怖くないの?」
「全く怖くないと言ったらウソになるけど、向こうの世界では竜にくっついて寝るなんて、絶対に経験できないことでしょう。どのような感じなのか試したいのよ」
「娘のワガママなんだけどイモードラ達、お願いできるかな?」
「もちろん、いつでもいいモイ」
先に目をつむり、丸まった。
「ズルいのだ」
ランドタイラントも側で丸まった。
「それじゃあ、お言葉に甘えるわよ」
二匹の竜に挟まれて朋子は寝た。何だか幸せそうな寝顔だった。不安だったのかもしれない。誰かにくっついていたかったのだろう。ゴメンよ、朋子。
ムスタバ兄弟もくっついて寝た。アムルガルはブルハ殿と大の字で寝ていた。
私は妻にくっついて、一緒に寝た。皆、気を使わせたかな?
次の日、オテロと名づけられた街を目指して、私達は出発した。「朝陽」よ、どこにいるんだ。無事でいてくれよ。
「ブルハ殿かアムルガルは、いませんか?」
そう話をしている時だった。声が気になったのだろう。懐かしい顔を見た。小さき竜人。頼りになる友人。
「よう、オテロじゃないか? 久しぶりだな」
「相変わらず、元気そうだな。アムルガル」
「その子はどうしたんだ?」
「この子は愛娘の『朋子』。横にいるのが私の妻だよ」
「久しぶりね。アムルガル」
「えっ、オイラ。こんな美女に会っていたかな? 絶対に忘れないと思うんだけどな。いつだったのかな?」
「彼女はデズデモナだよ」
「えっ、あの白猫のピンクマスクかよ」
「そうよ。驚いた?」
「驚くさ。中身がこんな美女だったとはな。オテロ、上手くやりやがったな。うらやましいぞ」
泣くアムルガル。袖で涙を拭いていた。
「その子は母親似の美人でよかったな」
「そうなんだけどね。子育ては大変だよ」
「ははは、そうだろうな。良からぬ悪い虫が寄ってきそうだ。この世界にいる間はオイラがその子を守ってやるよ」
「頼めるかい?」
「もちろんだ。今日はオイラの家に泊まって行けよ。なっ、なっ、そうしろよ」
助かった。野宿をしなくてもよさそうだ。
「ありがとう。頼めるかい?」
「水くさいぞ。オイラとオテロの仲じゃないか。そうだろう。遠慮するなよ」
「そうだね。助かるよ」
「ちょっとだけ、待っていてくれ。掃除をしてくる」
「そんなに気を使わなくっていいよ」
「バカ野郎。オテロのためじゃないさ。美女二人のためだよ」
「ありがとう、アムルガル。見かけによらず、紳士なのね」
「いやー、照れるなー。それじゃあ、ちょっと行ってくる」
アムルガルは家に走って行った。そこにイモードラ、ランドタイラント、ムスタバ兄弟の姿を見ることができた。皆であわただしく、掃除をしていた。久しぶりに見た姿に涙がこぼれ落ちそうだった。
待ちぼうけをすること、三十分ほどだろうか?
アムルガルは帰ってきた。
「お待たせ、それじゃあ、行こう」
仲間の家に着いた。アムルガルが私達を紹介した。
「お前ら、驚くなよ。コイツがオテロの中身の人間だ。美女の方がデズデモナの中身の人間だ。それとこの子が二人の子供だ」
「アムルガル、脳がおかしくなったモイ」
「そうなのだ」
「・・・」
信用されないアムルガル。呆れられていた。それはそうかもしれない。アムルガルはこの姿を知っているが、イモードラ達は知らない。オテロといえば、黒猫だと思っている。
「この声に聞き覚えはないかい?」
「オテロ、オテロなのか?」
「そうだよ。また君達に会えてうれしいよ」
「オテロー。会いたかった」
皆に抱きつかれた。ガマンしていた涙が止まらない。朋子はそれで起きた。ゆっくりとおろした。
「もう、パパ。汚い、泣くか鼻水をかむか、どっちかにしなさいよ。恥ずかしい。・・・って、キャー。竜がいる。パパ、何とかしてよ。た、食べないで。私は美味しくないわよ」
「朋子、大丈夫だよ。落ち着いて。その竜とカエルは私の仲間なんだ。そして彼がアムルガル。今日はここに泊めてもらうことにしたからね」
「よ、よろしくな、朋子ちゃん。オイラ、アムルガルです。何かあったら、オイラに言ってください」
「・・・よろしくお願いします。アムルガルさん」
「よかったな。アムルガルさん」
「オ、オテロ。からかうなよ」
「ははは、冗談だよ」
照れるアムルガル。うーん? アムルガルは朋子にホレたのだろうか? まー、しばらくはソーッと見守るか? いくらアムルガルでも、許せないことはあるんだからな。朋子と妻を襲ってみろ、許さないぞ。
「オイラの焼き芋、食え。ふーふーするんだぞ」
イモードラは朋子と妻に焼き芋を配った。妻が一口、食べる。
「美味しいわ、ありがとう」
「彼の名前はイモードラ。焼き芋の伝道竜だよ」
「よろしくモイ」
ランドタイラントと目が合った。「紹介しろよ」と言わんばかりの目。仕方がない、仲間だからな。
「こっちの竜がランドタイラント。オーラの竜なんだ」
「オイラは小さくても役に立つ竜なのだ」
ムスタバは朋子と妻に焼けた肉と取れたてフルーツをお盆に乗せて目の前に置いた。
「彼らはムスタバ兄弟だよ」
嬉しそうにダンスを踊っている。
紹介に疲れてしまった。興味があるのは彼女達のことなんだろう。二人には豪華な食事だったが、私にはチョコンと適当に置かれていた。何だろう、この扱いの違い。仲間だよね。仲間不信になりそうだ。
「どうしたアムルガル。楽しそうだな」
ブルハ殿が入ってきた。手に酒の入れ物を持っている。
「ジジイ、こっちがオテロだ。中身の方。それと奥さんと娘さんだ」
「ブルハ殿、ご無沙汰しております。今日はアムルガルの好意で泊めてもらうことになりました。よろしくお願いします」
「その声は正しくオテロ殿。いつもの黒猫の姿ではないのですな。いや、この姿の方が本当の姿ですかな? ほほほ、ゆっくりとしていってください」
「ありがとうございます」
「それにしてもオテロ殿。うらやましい。絶世の美人の奥様と娘さんがいるなんて。なるほど、こちらの世界の女性陣に振り向かないハズですな。納得です」
「ブルハ殿・・・」
「長生きするものですな。ありがたや、ありがたや」
ブルハ殿は拝んでいる。イヤイヤ、妻と娘は女神ではないんだけど・・・。まー、いいか。否定するのも面倒だ。それにしても・・・スゴいな。そりゃ、芸能界にスカウトされるよな。改めて、認識をした。美人の妻、可愛い愛娘。
「オテロ殿、お酒でもどうですかな?」
「ありがとうございます。いただきます」
ブルハ殿と妻の三人で呑んだ。会話が弾む。妻と一緒に呑むなんていつ以来だろうか? ちょっと、うれしい。
「ところで、オテロ殿。今回はどうしてここに来られたのですかな?」
「実は、ブルハ殿。私の息子の『朝陽』がこの世界へやってきているのではないかと家族で捜しに来たのです。協力願えないでしょうか?」
「もちろん、そういうことなら協力しましょう」
「皆も手伝ってくれないか?」
「任せろ、またオテロと冒険だ。必ず見つけてやる」
やはり、頼りになるのは、仲間だ。ここに来て正解だった。
「オテロ、お前の名前の付いた街へ行こうぜ。他の仲間にも手伝ってもらったらどうだ?」
「そうしよう。人数は多い方がいいからね」
「そうと決まったら、もう寝ようぜ。明日は夜明け前に出発だ」
「『月』と『朋子』は疲れただろう。ゆっくりお休み」
「あなたはどうするの?」
「久しぶりにイモードラ達にくっついて寝ることにするよ」
「パパはこの世界でそうして寝ていたの?」
「そうだよ」
「・・・私も一緒に寝たらダメかな?」
「えっ、『朋子』。竜が怖くないの?」
「全く怖くないと言ったらウソになるけど、向こうの世界では竜にくっついて寝るなんて、絶対に経験できないことでしょう。どのような感じなのか試したいのよ」
「娘のワガママなんだけどイモードラ達、お願いできるかな?」
「もちろん、いつでもいいモイ」
先に目をつむり、丸まった。
「ズルいのだ」
ランドタイラントも側で丸まった。
「それじゃあ、お言葉に甘えるわよ」
二匹の竜に挟まれて朋子は寝た。何だか幸せそうな寝顔だった。不安だったのかもしれない。誰かにくっついていたかったのだろう。ゴメンよ、朋子。
ムスタバ兄弟もくっついて寝た。アムルガルはブルハ殿と大の字で寝ていた。
私は妻にくっついて、一緒に寝た。皆、気を使わせたかな?
次の日、オテロと名づけられた街を目指して、私達は出発した。「朝陽」よ、どこにいるんだ。無事でいてくれよ。