第5話(4)

エピソード文字数 1,026文字

「はぁー。やっと終わった……」

 二階のエスカレーター前にいる俺は、数発魔法を喰らったかのようにボロボロで一息つく。
 髪留めさんやシュシュさんを買う時も、やっぱり色々あったんですよね。ゆうせぃ、もうちゅかれた。

『ああ、それはよく分かってる。だが気持ち悪いんで、幼児言葉はやめろ』

 はい。謎の声と皆様、大変失礼致しました。

「フードコートで少し休みたい――けど、そんな暇はないな。すぐ外に出てバスに乗り、汽車とタクシーを使ってあそこに行くとしましょう」
「にゅむ? あそこ?」
「師匠。あそこって、どこなが?」

 英雄3人にとっては、プチミステリーツアー。なので当然、第2の目的地も知らないのであります。

「ふふっ。みんな、どこだと思う?」
「うーん、そうやね……。今朝師匠が教えてくれた、歴史なんとか館やろうか?」
「違います。『歴史民俗資料館(れきしみんぞくしりょうかん)』、ではありません」

 高知県立歴史民俗資料館とは南国市にある、高知の歴史・民俗に関する資料を収集、保存して展示する施設。場所はなんと『岡豊城(おこうじょう)』というお城の跡地にあるという、内容的にも場所的にもスゴイ館なのです。

「じゃあ、レミア。どこだと思いますか?」
「にゅむむー。えとえと、『キャラ○ンバン』ってトコかな?」
「いいえ違います。しかもソレは、場所ではなく番組名だよ」

 残念ながら終了してしまった、野外で行われる高知のローカル歌番組。高知県民にとっては夏の風物詩的な長寿プログラムで、ボクは一般の方々が『歌って走って、キャラ○ンバン!』と番組名を言うCMが大好きでした。

「フュルとレミアは、ハズレ。シズナはどこだと思う?」
「………………分かったわ! 従兄くんが引っ越す前に住んでいた家ね!」
「おい、なぜソコに行く。誰トクだよ」

 築20年以上になる、7階建てのマンションの見学会。管理者様には申し訳ないが、んなの時間の無駄でしょ。

「ううん、私は行きたいわ。興味あります」
「にゅむむっ。あたしもあるよー」
「ワシもありますきっ。見てみたいがよ!」

 これは、予想外。結構得をする人がいた。

「ま、まー。それは機会があれば連れて行きますんで、正解を発表しますね」

 俺は得をする人達に苦笑いを浮かべ、閑話休題。意外に盛り上がったこの話題を終わらせ、三人の顔を見回しこう告げた。

「これから向かうのは、ね。海だよ」
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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