5-4 せめぎ合い

文字数 1,081文字

 星弥(せいや)を責めないで欲しい。この子は懸命に君達とお祖父様の間に立とうとしている


 僕個人としては妹を巻き込まれて少し困惑しているんだけど

 は?先にリンを掻っ攫ったのはそっちだろ?


 そのお返しに人質にとったって良かったんだぜ?

 喧嘩腰なのは元気で結構だけど、冷静になってもらえないと僕はますます困るな
 二人の交戦的な空気を読み取ったのか、皓矢(こうや)の肩に止まっている鳥がチチチと小さく鳴いた。
 兄さん!やめて!わたしのお友達に酷いことしないで!
 ああ、すまない。この子は僕の心を汲みすぎるところがあってね
 周防(すおう)くん、お願い。冷静に、話し合って欲しい


 お互いの妥協点がきっとあるはずだから

 前も言ったけど、そんなものがあるなら銀騎(しらき)とここまで拗れない


 ──だけど、僕らはその話し合いとやらに応じないと無事では済まなそうだ 

 本当に申し訳ない。実はお祖父様がとても乗り気で、早く君達と会いたいとおっしゃっている
 ジジイもいるのか?
 ──ではついてきてくれるね?お祖父様が自室でお待ちだから
 (はるか)……
 ライ、リン、行こう。とりあえずあのクソジジイにリンの件について文句言ってやる
 わかった

 一同は皓矢(こうや)の後に続いて倉庫を出た後、更に自宅から遠ざかるように奥へと歩いていった。

 すでに道もなく見た目には雑草の生い茂るだけの場所で、皓矢(こうや)は歩みを止めた。

 拝眉(はいび)(くるる)銀座(ぎんのざ)

 何か短い言葉を発した後、皓矢(こうや)がふっと息を吐く。

 

 景色が蜃気楼のように揺らめいてぼやけ始め、白く四角い建物があるように見えた。

 

 皓矢(こうや)が右手で何かを切るような仕草をすると、ぼやけた建物の中に扉だけがくっきりと現れた。研究所で見たような、白塗りで鉄製の一般的な扉だった。

 !
 まさか、ここが──
 ここは強固な結界が必要だから入るたびに解いているとコスパが悪くてね。入口を緩めるだけで勘弁して欲しい


 それとこの場所のことは公言しないでくれ。お祖父様の研究の全てがあるからね。見た目通り敵が多いんだ

 するわけないだろ、なめんなよ
 言ったところで誰も信じねえだろ
 ありがとう。では、どうぞ
 中に入ると玄関ロビーに見たことのある女性が立っていた。
 ──あ
 いらっしゃいませ、奥で博士がお待ちです
 (はるか)、知ってるのか?
 説明会で司会してた人だよ。──やっぱりね
 奥、ですか?
 はい。博士の御命令でそのように、と


 簡単ではありますがテーブルと椅子は運んでおきました

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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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