詩小説『台風の夜に』3分の失望。嵐のような恋。

エピソード文字数 499文字

台風の夜に

窓を叩きつける風。
外は地響きに震えている。

鳴り響く雷に怯えて、
思わずあなたに擦り寄った。

あなたの打ち明け話の最後には、
きっと私は号泣しているのだろうと、
覚悟は出来ているつもりだった。

停電に明かりは落とされた。
静かな暗闇の中。

濡れた髪にバスタオル。
ふたりして身体ごと包まれた。

出逢ってしまったことこそが、
もう二度と取り返しのつかないほどの、
愚かな過ちだったのねと、泣き崩れる。

震える手を握り締めて。
風吹く音だけが鳴る部屋で。

ただこの雨風が収まるまでは、
せめて隣に居たいだけ。

あなたと私、いったいどちらが、
許されぬ罪人だったのでしょう?
たとえ誰かが傷ついたとしても構わない。

雨の匂いが湯気に変わる。
自転車の倒れる音がした。

小さな灯りをたよりに、あなた見つめた。
暗闇の中手探りに、愛を確かめた。

冷たい頬、濡れた身体を熱くして、
最後にあなたと愛し合った。
むせるくらいに。息も切れるくらいに。

あの雨風が嘘のように、
おとなしい朝が訪れた。

まだ目覚めぬあなたに、置き手紙残すつもり。
「これは、嵐の前の静けさよ」
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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