-2- 挨拶

文字数 261文字

 電車の中で、人間と同じような格好をしているけれど、明らかに人に見えないお化けを見かけた。

 透明なわけじゃないのに、なぜか人間から気付かれず、他の人達と同じように座席に座っている。

 そいつは僕の向かいの席に座っていたので、どうしてもソイツを見てしまう。

 すると、ソイツは僕の視線に気付き、きょろきょろと周りを見回して、そして僕が見ているのが自分だと理解した。

 僕がぺこりと会釈をすると、お化けもぺこりと会釈を返した。

 ソイツはしばらく気まずそうにしていたけれど、やがて下を向いて寝たふりを始めた。

 人間みたいなやつだなあ。
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