第22話パテシィエ 尚子

文字数 799文字

午後1時、近所の洋菓子店のパテシィエの尚子が、入って来た。
飛鳥は、落ち着いた声。
「おや、珍しい、今日はお休み?」

尚子
「うん、たまにはね、休もうかと」

飛鳥は、レモンの炭酸水を尚子の前に置く。

尚子は、一口飲んで
「少し甘味を加えたの?」と笑顔。

飛鳥
「休みと言っても、何か、考え事をしているだろうしね」
「何しろ、ケーキが恋人だから」

尚子は、飛鳥を軽くにらむ。
「それはそうでしょうよ、飛鳥君にフラれた私ですから」

飛鳥は、甘酒を尚子の前に置く。
「新しいケーキだっけ」

尚子
「どれも、似たり寄ったりでね、煮詰まった」
「それもこれも、私に冷たい飛鳥君が原因」

飛鳥が苦笑いをしていると、香苗が顔を出した。
「無理よ、飛鳥は」
「店が恋人だから」

尚子と、聞いていた美鈴も笑うけれど、飛鳥も否定はしない。
それでも、気になったのか、話し出す。
「せっかく神保町で店を開いていて」

尚子が真面目な顔になる。
「うん、何かある?」

飛鳥
「洋菓子、ケーキと言っても、様々なお国柄で、様々」
「パリにこだわりなくね」
「北欧、南欧、中欧、東欧・・・」
「それらの国ごとのケーキ」
「トルコのケーキも種類は多い」

尚子の目が輝いた。
「各国ごとに、ケーキフェアとか?」
「面白いかも、それ」

飛鳥
「で、ここは神保町」
「そういう歴史に詳しい学者も、たくさん歩いているから」
「解説とか、歴史セミナーとか」

尚子は、ムズムズしてきた様子。
「はぁ・・・福の神様だね、飛鳥君」
「何か。また口説きたくなって来た」

飛鳥は横を向く。
「さっきと違いますねえ」
「トゲトゲでした」

尚子は、それには答えない。
「ねえ、飛鳥君、試作するから味見してくれる?」
「毎週でもいいよね、発案者だしさ」
と、グイグイと飛鳥に迫る。

飛鳥は、つれない返事。
「営業時間中は無理です」

しかし、尚子も負けない。
「それは私も同じ、夜に・・・どう?」

飛鳥は、答えに難儀。
しきりに美鈴を見るけれど、美鈴は横を向いている。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み