ペトロとパウロ サマリアで舞台に立つ
文字数 3,372文字
私は十二使徒と呼ばれるイエス様の十二人の弟子のなかでも、まあ、自分で言うのもなんですが、一番上かなと思うんですけどね。彼の方は最近入ったばかりなので、十二使徒どころか、一番下のほうの信者になるわけですね。
まあ、そういう二人で、伝道旅行をしているわけなんですけど、ここサマリアでも、皆さんにイエス様の教えを知ってもらいたいと思って、こうして来たわけなんですよ。ちょっと、聞きたいんですけど、このなかに、イエス様、知ってるーって言う人いたら、手を上げてもらっていいですか。
私、聞いたんですよ。あなたはどなたですかって。そうしたら、声が言うわけですよ。お前が迫害するイエスだって。私、びっくりしちゃってね。こんなことがあるだろうかって。そうしたら、声がさらに言うんですね。町に行きなさい。道が示されるだろうって。
仲間に手を引かれて、町に連れて行ってもらったけど、それから、私、三日間、目は見えないし、飲まず食わずですよ。もう食べる気がしない。私はなんてことをしてきたんだろうと思ってね。怖さもあるしね。私はこれからどうなるんだろうっていうね。
主の教えが広まってほしいのはそうなんですが、合わせて、私も有名になりたいというか。歴史に名を残したいというか。ほら、オリンピアでメダルとった人の名言とかあるじゃないですか。私もああいう感じで名前となにか言葉を残したいなあと、不遜なことを願っちゃったりなんかしてまして。