第1話

文字数 1,057文字

 「庄内から消えたもの(その壱・その弐)」(NOVEL DAYS 一般小説:2022年9月8日および 20日 更新)で、庄内から地方銀行の ATM 、そしておでん屋が消え、皆、コンビニの ATM を利用し、おでんもコンビニから買ってくるものになったことを述べた。
 庄内にはおでん屋もおでんの屋台もない。
 豊穣な土地と豊かな自然、文化と歴史のある庄内で、何故、おでん屋が定着しないのか、ず~っと思案していた。未だに、結論に至っていない。
 おでんが有名な場所として「静岡おでん」がある。日本海に面した庄内と対照的に、太平洋に面した静岡でおでんが地域の食文化を形成したことは興味深い。
 何とこの「静岡おでん」は農林水産省のホームページで、うちの郷土料理(次世代に伝えたい大切な味)のコーナーで紹介されている。
 【静岡おでん】は、牛すじ、黒はんぺん、練り物、大根、卵など具材を全て串に刺し、色の黒い出し汁で煮込み、青のりや魚の出し粉をかけて食べる静岡市の郷土料理。だそうで、いくつかの特徴がある。
 先ず、出し汁(だしじる)が真っ黒だ。これは濃口醤油や味噌で味付けし、牛すじや鶏肉から取った出しを継ぎ足していくうちにどんどん色が濃くなるのだそうだ。おでんの具は黒はんぺん、大根、こんにゃく、卵、昆布などのほか、牛すじや豚もつなどもあり、これらは全て串に刺してある。
 写真は 2016年9月 に静岡市内で撮影した「静岡おでん」だ。百聞は一見に如かず。実際に静岡におでんを食べに行った。JR静岡駅の観光案内所では、何種類ものおでんマップが用意されていた。

 ホントに出し汁が真っ黒だ。具材は串に刺さっている。
 串で刺してある具を出し汁から取り出し、出し粉((いわし)(さば)(あじ)などの削り節の粉)や青のり、辛子、味噌などをつけて一緒に食べる。
 写真は同じ日に撮影した「静岡おでん」だ。

 味は見た目ほど濃くはなく、意外とあっさりしていて、出しがよく染み込んだ深い味わいだ。
 会計は食べた具の串の本数で計算する。だからおでん1本から買うことができる。こうした食べやすさから、駄菓子屋さんの片隅におでんが置かれていることもあり、子供の頃から軽食として慣れ親しんできた静岡市民の味だそうだ。
 JR静岡駅の近くには、現在も2つのおでん街「青葉おでん街」と「青葉横丁」がある。

 ん~、静岡おでんは静岡の食文化として地元に定着していると言わざるを得ない。
 別にほかの地域と競争している訳ではないが、庄内はおでんに関しては静岡に脱帽だの~。
 んだんだ。
(2022年9月)
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