第7話 風軍団

エピソード文字数 2,145文字

時の扉を開いてまだ2日目。昨夜はいろんな事件が起こり、多少疲れたせいか、数時間だと思うがぐっすり眠り込んだみてぇだ。

熊に五郎、あっという間に子分が2人できたが、俺の見る目が間違っていなければ、なかなか骨がある漢たちみてぇだ。

「親分」「親分」ってうるさく騒がれるのが、なんか照れくさくってさ、3人で改めて義兄弟として固めの盃を交したんだ。

俺が長兄、五郎が次兄、そして熊、と新たな仲間ができた。もちろんイヌコロも仲間に入れたよ。さすがに兄弟にはなれねえけどな。

それからもう1つ。実は五郎に熊、2人の名前は盗人の通り名で、本名じゃなかったんだ。

五郎は『茂治(しげじ)』、熊は『圭吉(かどきち)』が本名だっていうから、これを機会に本名で呼ぶことにした。

イヌコロもあんまり粋な名前じゃねぇので、黒い狼に風介の1文字を入れて『黒介(くろすけ)』と改名。賢い野郎だ、新しい名前を呼んだら、嬉しそうに喉を鳴らした。

それから俺のことは、『風兄(かぜにい)』『風介兄貴』と呼ばせることにした。3兄弟で『風軍団』の立上げ完了だ。さあこれからひと暴れするぜ!

今朝は猪肉に雑穀の鍋、大根の漬け物に梅干と山盛りの玄米と、この時代にしちゃあご馳走らしい。黒介には生の猪肉の塊だ。

使い切れねえくらいの金子があるのに、本当は分厚いステーキでも食いたかったが、まあ時代が時代だからしょうがねぇか。

熊、いや圭吉(かどきち)が朝早くからデカイ体をマメに動かして、朝飯の準備をしてくれたらしい。

さて、飛び込んできたこの世界で、これから何をやるのか、茂(しげ)に圭(かど)に黒(くろ)と、最強の仲間ができたんで考えなくちゃいけねえな。

たっぷりの朝飯を平らげた後なんで、眠くてしようがねぇが、茂が真面目に仕切るから眠るわけにもいかねぇな・・・・・

「じゃあ親分、いや兄貴、それから圭、これから俺ら風軍団はどうするか。決めていこうじゃねぇか」

「風兄に、茂兄。甲非一番の盗賊、関東いや大日本(やまと)一番の盗賊なんかどうだろう。俺ら3人と黒介がいれば十分にできると思うんだが」

「圭よ、確かに風兄と俺達なら、大日本一の盗賊にはなれそうだな」

「おい、茂に圭、大日本一の盗賊はなかなかでけぇ夢だが、どうせ盗賊をやるなら金子を盗むよりも、国を盗むってのはどうでぃ、俺ら風軍団が全ての国を盗んで統一し、大日本の大将になるなんて夢は?」

「さすがに兄貴は魔人さまだ。俺ら半端者とは懐の広さが違う。風軍団で大日本の大将になるか、なあ圭よ、すげぇ夢じゃねぇか」

「茂兄、確かに、風介兄貴は魔人さまだ。兄貴と一緒なら大日本の大将にでも、なれるかもしれねぇな」

「よし、どうやら俺たち風軍団が目指すべき道は、これで決まりだな。茂に圭、それに黒もだ、大日本の大将になろうぜ!」

今、大日本は各地に群雄が割拠する戦国時代のはずだ。茂曰く、今、俺達がいる居る甲非の国は、この甲付(こうふ)のつつじが崎に館を構える武田伸虎という大名が国を治めているようだ。

伸虎を中心に一族郎党強固な軍団を形成し、甲非の国では歯向かう者などいないという。

「茂よ、その伸虎ってヤツは何人位、家来がいるのか情報はあるのかい?」

「風兄、伸虎には約9千人の家来がいるという話を聞いていますが・・・・・」

「武士が9千人か、となると武士1人に従者3人を従えると、武田伸虎の軍は3万6千人の軍勢だな。なかなかの軍団だな」

「風兄、いくら兄貴が魔人さまでも、オラたち3人と黒介1匹で、3万6千人の軍勢相手は無理に決まってますだ」

「圭よ、お前、何考えてんだ。いくら風兄が魔人さまでも、できるわけねぇ」

「そうだな茂に圭、俺たち風軍団も国盗りを目指すなら、それなりに頭数を集めねぇとな。茂に圭、お前ら程じゃねぇにしても、俺たちの仲間にしても使えそうな野郎たちを何人位集められる?」

「兄貴、俺はこの甲非の河内で産まれたが、仕事は手広くこなしていたんで、一声掛ければ100人は超えるが、特に腕が立つヤツというなら20人位はなんとか」

「風兄、おいらも山賊仲間でぶっ倒したヤツらの中で、仲間にしても良いと思える野郎は20人位は集められる」

「茂と圭で40人か、さすが俺の兄弟だ。ふたりともなかなかじゃなぇか。それだけ集めるのに何日かかる?」

「俺は今日中には集められるぜ」

「おらも今日中には何とか」

「ようし分かった。じゃあふたりとも今から飛んで今日の夜中までに、できるだけ仲間をかき集めてこい。集合場所は圭のヤサだ。時間は深夜2時だどうだ?」

「兄貴分かった。早速声掛けに出かけるが、深夜の2時ってのは何刻のことでぃ?」

こりゃあ、参ったな。確かに2時っていってもこの時代には通用しねえか。
昔は12支で時を刻んでいたようだな。2時っていうと丑の刻だったな。

「茂、丑の刻でどうだ。圭もやれるか?」

「もちろんだ。風兄の命令なら・・・・・」

「よし、茂に圭。じゃあ今夜の、いや明日の丑の刻に圭のヤサで。ふたりとも任せたぜ」

茂治、圭吉は、風介の命を受けて、仲間集めに飛び出して行った。

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