第6話 4児ママさん

文字数 918文字

 「では、次の方」と、指名されたのは、向こうから2番目に座っている、私と同じくらいの年齢であろう女性の方。

 「○○○○、45歳です。」
年齢を言う様には言われていなかったが、一番初めのインターハイくんが言ったからか、全員言うはめになってしまった。
 「現在専業主婦です。子供は4人います。以前に販売の経験はあります。一番下の子が小学校に入学したので、どの曜日でも入れます。20時くらいまで入れます」
 子供が4人!?4児ママ。
 一番下の子が小学校に入ったとは言え、家はバタバタではないのだろうか。一番上は何歳なの?もし高校生の子がいればお弁当も作らなければならない、小学1年生なんてまだ幼稚園児と変わらない。なぜ、どの曜日でも、しかも20時までパートに入れるのだ。小学生は15時くらいには帰宅する、水曜日は早いはず。一人で家で待たせるのだろうか。もしかして、おばあちゃんとかと一緒に暮らしているのか。習い事とか連れて行かなくていいのか。私の子供は中学生だが、趣味でやっているテニススクールに車で送っている。何度か電車を乗り継ぎ、かつ駅からも離れているため、車の方が早いから、という理由はあるものの、まだ親の手から離れていないのに、小学1年生の彼女の子供は、一人で習い事に行き、お母さんが帰ってくる20時過ぎまで一人で待っているのだろうか。習い事はやってないの?もしくはそれまでに兄弟が帰ってきて、その子の面倒を見てくれるのだろうか。薄々気づいてはいたものの、やはり私は相当過保護であるらしい。中学生になって学校のことをますます話さなくなったので、情報を得るため、進んで中学校のP T Aにも参加している。子供は嫌がっているが、行けるとこまで子供に関わってやろうと思っている。そして私が勝手に決めている働く条件は、子供が帰ってくるまでには、絶対に帰宅していること、だ。だから、20時までは働けない。

一人しか採用しないのなら、私は今のところ勝ち目なし。ただ唯一の救いは、希望店舗が違うこと。みんな都会の違う店舗を希望しているが、唯一私だけ、自分が住んでいない限り降り立つことはないようなマイナーな駅の店舗を希望している。

「ありがとうございます。」
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