scene-04

文字数 1,053文字

松嶋家:玄関
た……た、だいまー
ーー玄関も廊下もまっくらで、ひそとも音がしない。パパさんにママさん、それからあの人形はどうなったんだろう?
何となく声をかけるのもはばかられるので、私はそのままソロリソロリと二階の自室へ戻った。今夜はお風呂もいいや……
松嶋家:信子の部屋
ーーパタム
は〜あぁ……ヘトヘトだ……おでん食べよう
(大好きなタマゴと、ソーセージ巻きと……)
…………
ひぇっ!?
ここここ腰を抜かすかと思った!
家具のほとんどない寒々しい部屋の中、灯りを点けた瞬間に目に飛び込んできたのは、客間で見た例の人形だった! しかしなぜ、部屋の真ん中で転がっている?
“おかえりなさーいノブチャン! 随分と帰りが遅かったじゃないの。待ちくたびれてこの白磁のお肌が凍えちゃうかと思ったわ!”
……っ
人形はバタくさい見かけに似合わぬ流暢な日本語で、何と(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)話しかけてくる。これっていわゆるテレパシー?
な、んで……ここに……
ここは私の部屋なんだから、で、出ていって欲しい
“勝手にお邪魔したことは謝るわ。ごめんなさい。あなたに挨拶がしたいからとおばさまに断って入れさせてもらったの”
“ちゃんとおはなしをする前に、まずはあたしを起こしてくれないかしら? 部屋に入ったと同時に(⚫︎)(⚫︎)に戻っちゃったからこのザマなのよぅ”
……多少の不安はあったけれど、特に悪いヤツとは思えなかったせいもあり、私は私とそう変わらない背丈の人形を抱き起こして座り直させた
“ふ〜ぅ、ありがと! やっぱり子どもって苦手だわぁ!”
人形がそれ言う?
“ん……んーんんんんん……っ”
(何かいきなりんーんーうなり出した!?)
んしょっ!!
すごっ!! ただの人形があっという間に生きた女の子に変化した!!
ふーっ、ふーっ! こ、これ、自力でやるの結構疲れるのよ……!
大人の前だと勝手に人間になれて、勝手にチヤホヤしてくれるようになってるのに。やっぱり子ども相手だとダメね
子どもは人間的に未熟な分、紛いものの下にある真実を見破る能力(チカラ)が発達しているんだわ。だからホラーー
ポンッ
(3分きっかり……カップラーメンみたいだ……)
“今までで最短を記録したわ! あなた凄いのね、もともと呪いを打ち破る力が強いんだわきっと!”
“そこでノブチャン、あなたに相談があるのよ。あたしたち、手を組まない?”
ああ……
“? なぜに悲しげ?”
とりあえず……おでんを食べながらでもいい? すっかり……冷めちゃった……
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色