第43話  遠方組の集まり 1

エピソード文字数 3,232文字

 ※


 さて、本日は土曜日。


 遠方組の友達と遊ぶ約束をしている。

 ついにその時がやってきた。


 先日聖奈と俺が計画してた「遠方組でのお遊び会」は次の日には即決定していた。


 その時、西部に「俺も行きたい」とお願いされまくったが、聖奈が一刀両断する事により三秒で解決する。



 すまんな。西部。

 一回だけは仲の良い連中だけで集まりたいんだ。と言う訳で彼には丁重に辞退していただいた。



 そして本命である白竹さんや染谷くんも快く返事してくれた。

 すると魔樹も一緒に来る事になり、五人で集まる予定となった。


 一応、地元のカラオケやらゲーセンやらで遊ぶ予定であり……ちょっと考えるだけで幸せになれる。


 ちなみに俺はこんな大勢で遊んだ事は無い。楓蓮でも経験は無い。

 なので、期待するなというのが無理な話だった。


 ※


 この日は朝から期待しまくっており、ずっと今までテンションが変だった。

 凛にも突っ込まれ「だって楽しみだもん」返す始末。


 本来なら、その場合「凛を一人置いていくのか」と言う問題があったが……

 それもあっさりと解決した。


では参りましょうか
うん! じゃあお兄ちゃん。行ってくるね

 先に家を出たのは凛と平八さんだ。

 と言うのも、平八さんが凛の面倒を見てくれると名乗り出てくれたのだ。


 最初は拒否していた凛だったが……

 

「お買い物」「ゲーセン」「遊園地」そこまでは耐えた凛だったが「お寿司」「焼肉」で顔が緩み、最後に「お父さんの仕事場までご案内します」で一撃KOだった。



「じゃあ行く~」との元気よい返事が聞こえた瞬間、平八さんが小さくガッツポーズしたのを見逃さなかった。


 凛が助手席に乗ると、黒塗り高級車は一気に走り出した。

じゃあ私達も行くわよ
そうだな。丁度良い時間か
 黒塗り高級車を見届けて、俺達は歩いて待ち合わせ場所である白竹さんの喫茶店前に向かうのだった。


 ※

なぁ聖奈。お前ってそんなお洒落だったのな?
そう? 別に普通だけど
それなら楓蓮で着れるかもしれん
へぇ~。こんなの好き?
好きって言うか……着れる。かなって
じゃあ、楓蓮に合うサイズ持ってくるわっ。あんたにあげる
あげるって……おいおい
いいのよ。これ作ってるの。私だから
え?
そーいうことしてるのよ、家で

 そうなのか。家で服を作ってるの?

 いやー。昔はそんな器用な奴とは思わなかったが…… 


 これ。お前が作るの? いや、でも縫製とかプロ並みじゃねーか? 普通に市販できるだろこれ。

今日は五時くらいまでだから。先に帰るわよ
分かった。俺もその時間くらいまでじゃないと。バイトがあるし

 などと他愛も無い話をしながら歩いていると、喫茶店が見えてくる。

 その前には既に白竹さん姉弟や染谷くんが待っていた。


 みんな早いなぁ。待ち合わせまでかなり早めに来たんだが。

みんな早いわね。まだ待ち合わせ時間より十五分早いわ
わ、わたひは楽しみにしてて、その……早く来すぎちゃいました。
美神さん。黒澤くん。今日はよろしくねっ

こちらこそ。よろしく。


白竹さんと魔樹も、よろしくお願いします

よろしく。

 聖奈と白竹さんが喋っている間に、男二人に軽く挨拶。

 染谷くんはアレだな。喫茶店で着ていたジャージ姿だ。


 そして魔樹なんだが、パーカーにスラックスか。

 ラフな格好も似合いすぎて困るなこいつ。



 と言う訳で、自分自身が非常にダサく思える。

 シャツと綿パンの合わせ技だし、中房みてーだ。


 歩く配置としては、聖奈。白竹さん。魔樹が並んでて、その後ろを染谷くんと歩く感じとなった。

しまったね。だっせー格好しちゃった。みんなかしこまってるし
そうだよね。普通のノリで来た僕達と人種が違うみたいだ

 染谷くんもそう思ってるのか。まぁ俺と同じような「着れればいい」ようなジャージ姿に、仲間がいるとホっとしてしまう。


 和気藹々と喋る前の三人。

 ちゃっかり魔樹も普通に聖奈と喋ってやがるし、これはこのままでいいだろう。



魔樹は女の子には優しいんだよなぁ

だね。でもあんまりガツガツしてるタイプにも見えないしね。

ああいうタイプってモテるんだろうなぁ。

確かにね。ってかあの横顔が爽やかすぎるし。

同じ男として、なんつーか格が違うね

そうなんだよなぁ。魔樹はぶっちゃけ男前だからな……


こいつがもし楓蓮さんを狙い出すと……厄介すぎる。

 あいつの爽やか過ぎる笑顔を見ながら、染谷くんと魔樹ウォッチングをしていると、駅前のカラオケ店で三人が立ち止まった。




 まずはカラオケだな。


 そんなに声に自信が無いが、赤っ恥をかかないようにしなければ。


 ※


 カラオケに行くのは事前に情報があった為、実は昨日何曲か練習していた。


 果たして上手く歌えるかどうか……ドキドキしてくるぞ。


 店内に案内され、とうとう歌うのか。などと思っていると嫌でも緊張してしまうのは仕方がない。



じゃあ私から。歌いまするっ!
あら。一番トップから大丈夫なの?
あひ。頑張りますっ!
白竹さん。頑張ってくださいね

白竹さん、初っ端から行くってことは、

カラオケに自信ありそうですね。

おっ。染谷くん。正解!


ちなみに彼女の声はすげーぞ。経験者は語る。

そうね。普段の声も可愛いし。めちゃくちゃ上手かったりして。

 白竹さんの歌声を知らない。そんな聖奈と染谷くんだったが……





 当然第一声から驚いていた。

 その美声に一撃でアホ口を開けてやがる。



ちょっと……めっちゃ上手いじゃないの!
ちょ! 白竹さん。マジ?
…………
魔樹はそんな様子を目を閉じて、ドヤってやがるし。

おっと。俺も「初めて聞いた」ような反応をしなければ。


彼女の美声を知るのは楓蓮だからな

やがて二人は巡り会う。


それは偶然でも奇跡でもなく。決まっている。


その先の未来に……私は……私達の未来は……

 やっぱすげーわ。白竹さん。オペラだけじゃなくてアニメ主題歌も歌えるんですね。


 そのルックスと美声のコンビは凄まじい女子力を叩き出している。


 前に聞いた時も思ったが、すんげー高音を出すのは知ってた。

 だけど低音まで幅広く出せるのは、まさに歌姫と言っても過言ではない。


美優! あんた凄いじゃない!
ビックリだよ。なんだか本物より凄くない?
だね。ずっと鳥肌立ってるし。上手すぎるでしょほんと

 二人の賞賛に賛同するように彼女を褒め称えていると「えへへ」ともらす白竹さんの可愛いこと、可愛いこと。


 あなた。その声で食べていけますよ。

 しかも可愛いし、トップアイドルの素質十分ありますから。


次は僕が行くよ。

 今度は魔樹だな。クールな顔にほんのりと楽勝ムードが垣間見える。

 こいつもとんでもない美声だからな。


 それが分かってるのだろうか、心なしか顔が緩んでいるような気がするぜ。

ははっ。これも上手いパターンっぽくない?
なんとなく感じ取れるよね。

あ、この歌好きっ。


魔樹くん、これ歌えるの?

 大丈夫だ聖奈。こいつもクッソ上手いから。


 ってか魔樹よ。この歌ってボーカルが女性だろ?

マジかよこいつ。
横に座る染谷くんが思わず漏らす。俺にしか聞こえないような声で。

絶対やべーってコレ! 男だろこいつ。


どんだけ声出せるんだよマジで! 

ちょっと! 何あんたたち、どっちも上手いじゃない

 魔樹が歌っているのもアニメだな。意外なチョイスにビビったが、それよりも圧倒的な歌唱力を見せ付けるのだった。


 こいつの場合は、ねーちゃんと比べると力強い歌い方だな。

 ふわふわっとした感じじゃなくって……歌詞をハッキリと歌いきってるというか、まぁどちらにせよプロ級ではあるが。



 まあいい。この二人は知ってるからいいけど…… 

 


まさか。黒澤くんや美神さんも、上手い系とは言わないよね?
い、いや。俺は全然だし……

 問題は聖奈と染谷くんだな。

 できれば俺と同じ位のレベルであって欲しい。そう思ったが……

じゃあ次は私が行くわね。

 おい聖奈。


 お前……レジェンド級に上手い白竹姉弟の次に歌えるっていうのか?


 いや。待て。


 まさかお前も……上手いってオチじゃねーだろうな?

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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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