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文字数 344文字

 翌朝、ゴミ捨て場に向かうと、同じくゴミ捨てをしていた東西くんに会った。
「おはよう」
 声を掛けて行こうとすると、
「あ、晴さん」
 と引き留められた。
「聞いた? 榛くんのこと」
「榛くん? 」
 特に、なにも聞いてないけど。
「何かあったの? 」
「いやね、」
 と東西くん。
「どういう風の吹きまわしか、榛くん、今晩、家族とご飯食べるらしいよ」
「急展開。何があったんだろう」
 にんまりして、おれは言う。
「知らない」
 東西くんは、おれの表情を受け取ったうえで首を振った。
「けど、“今日元気だった人が、明日にはいなくなってしまうことがあるかもしれない”って言ってたよ」
 ま、その通りだよね。
「その教訓を大事に、ボクも思う存分、殿下をいじめないと」
「ほどほどにね」
 おれらは笑い合い、アパートに戻って行った。
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