第14話 「集まった4人」

文字数 1,921文字

(別に何でも無いのに…3人でいると何か気まずいのなんでだろう…。)
 


 ヒスイは日下部、黒木を引き連れて柚子果が隠れている所まで歩いて案内した。









「…っ!ヒスイ!」
 待ち望んでいたヒスイの姿が遠くに見えた柚子果は思わず、立ち上がって手を振った。ついでに、日下部と黒木の存在にも気がついた様子だった。
「待たせてごめんね、ユズ」
「良かったー!本当に良かったぁ!待ってたよヒスイ。ついでに日下部と黒木もいるけど」
「じゃーまあ、揃った事だし。とりあえず、あの家の中で説明するわ」
 黒木が指を差したその近くの建物は、誰か今でも住んでいそうな一般のアパートだった。
「待って。状況がイマイチ飲み込めないんどけど、勝手に人の家に入るわけにいかなくない?」
「皆んなも薄々気がついていると思うけど、ここは現実の世界とは違って俺たち以外の一般市民は誰も存在していない。存在しているのは同窓会に参加したメンバー11人だけだ」
「それを知っているってことは他の人にも会ったって事よね?場所は?居場所は分かるの?」
「……。まあ〜…大体知ってるけど、今はまだ“会えない”。準備が必要だからだ」
「準備ってなんの準備よ」
「俺たちが“敗北”しないための準備だ」
「は、敗北って何の話よ…。その敗北って、したらどうなるの?」
現実世界に一生帰れなくなる。それが俺たちが意味する敗北だ。」
「じゃあ逆にどうやったら帰れるの?」
「それは実は“俺でも分かってない”」
「何よそれ。じゃあどうすんのよ」
「だから、“準備”が必要なんだ。“負けないため”のな。まあ、とりあえず敵に見つかると悪いから家の中へ入ろう」
 黒木に言われるまま、ヒスイ、日下部、柚子果は黒木と一緒に近くのアパートの一室へ入っていく。









「部屋の中は暗いままで頼むな。さっきのヘンテコは“”と“”に反応するんだ。話す時も静かにな」
(黒木もあのウネウネした生き物のこと“ヘンテコ”って呼んでる…)
「ああ、ちなみにこの“ヘンテコ”って呼び方もお前らが最初に呼んでた呼び方をマネしてたんだぜ、みんな
「…それよりゲン、今の状況をさっさと説明してほしいんだけど。」
「ええっと~…何から話そうかな。まあ、声を出さずに聞いてほしいんだけど…」
 黒木は静かに口を開いた。






「…―――ええっ!?みんなを助けるために未来から戻ってきた!?」
「しー!しぃー!!声が大きい!…まあ、簡単に言うとそゆことだけどさ。」
 ふと冷静になった柚子果は肩をストンと落とすと小さくため息をついた。
「そんなおとぎ話みたいな話、誰も信用しないでしょ。じゃあ、一応聞くけど未来から来た確証って何よ?」
「え〜…じゃあ、怒らないで聞いてくれよ?」
「柚子果は、同じ大学に好きな人がいて、今告白しようか迷っているところなんだろ?」
「なっ何でその話知ってんのよ!同窓会でアタシ、あんた(黒木)にそんな話してないでしょ!」
「だから怒らないで聞いてくれって…。それに俺は未来から来たって言っただろ?」
「…それからヒスイ。お前は実はタバコ吸ってたんだよな?彼氏と別れてからタバコ辞めたってそれ最近の話すぎるだろw。んで実は左胸の上にタトゥーが入っている。」
「っ!?」
「えっ…意外……。本当なの?ヒスイ」
(なんで黒木が“その話”知ってんだよ…。誰にも話すつもりこの先も無いのにに…こんな話。)
「本当だよな?ヒスイ」
「…………………………………まあ。」
「…。」
「…話を戻すけど、俺たちがココで一番するべき事は“敗北をしないこと”だ。つまりだな…そのために今、一番するべき事は…、」
「まずは俺の話を信じる事だ。じゃないと何も進まない」
「…、」
「…。」
「…。」
「大前提として、俺の話を信じてくれる上で、今持っている必要な情報を話す。オーケー?」
 柚子果、日下部、ヒスイの3人はまだ半信半疑というような表情を浮かべていたが、とりあえず黒木の話を聞こうと耳を傾けていた。
「ヒスイは見たと思うけど、俺の持っている“鍵”の能力は“過去に戻る事が出来る”んだ。詳しい言い方をすると“自分自分が触れている物は過去に戻ることができる”」
「…なんだか黒木の話を聞いてると頭の中がぐらぐらする…。あのさ、黒木のその“過去に戻れる能力”ってやつ?出来るんなら“全員で”過去に戻ってくることは出来なかったの?」
「それが…過去に戻れる能力っつっても“鍵の持ち主以外の生き物は1時間前までしか戻る事が出来ない”っていう条件もある。」
「だから“黒木だけ”が戻ってきたってわけね。」
「まあな。…でも、」

 そう言うと、黒木は自分のポケットから“複数枚”のメモ用紙を取り出す。

「“11枚のメモ用紙”と一緒に過去に戻る事は出来たぜ。」
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登場人物紹介

【道角ひすい(みちかど ひすい)】22歳。東京でデザイン関係の仕事をしている。卒業した小学校の同窓会の予定がイブの日に入っていたため、地元に一時帰省していた。

同窓会のメンバーの中でメグと銀太以外は、会話するのが久しぶり。

【日下部瑞樹(くさかべ みずき)】大学生。同窓会のメンバー全員と久しぶりの会話。あまり自分から進んで話すタイプではないが、コミュニケーション能力はそれなりにある。

【紫竹山恵(しちくやま めぐみ)】地元で美容関係の仕事をしている。ヒスイが今でも連絡を取り合っている間柄で、ヒスイが地元に帰って来た時には毎度会ったりしている程である。大人びた綺麗な見た目で背も高い。銀太と付き合っている。

【宇鉄銀太(うてつ ぎんた)】地元で工業関係の仕事をしている。恵と付き合っているため、よく一緒にいる。人付き合いが特別好きってわけではないが、人との付き合い方が上手。ワイルドな見た目に関わらず、穏やかな性格。

【黒木玄(くろき げん)】消防士の仕事をしていて、体格が良い。女性が好きだが女心が分からないため、彼女が出来ない。デリカシーのない発言が多く、周りを戸惑わせるが本人は気にしていない。良くも悪くもマイペースな性格である。

【柿田夕一(かきた ゆういち)】大学生。小柄な体格であるが、体を動かす事が好きで大学のサークルではサッカー部に入っている。昔から天真爛漫な性格は変わっておらず、誰に対しても明るく信頼が厚い。

【春間美香(はるま みか)】大学生。小学校6年生の時に数ヶ月間だけ、ヒスイと同じ学校に転校してきた同級生。同窓会には元担任の先生から連絡をもらい、サプライズで参加していた。穏やかで明るい性格から、久しぶりに会った同級生ともすぐに打ち解けている。

【芝崎透(しばさき とおる)】大学生。今回の同窓会の幹事である。めんどくさがりなような一面も垣間見えるが、実際は面倒見の良い兄貴肌。体を動かす事はそんなに得意ではないが、自然が好き。

【黄原柚子果(きはら ゆずか)】看護学生。はっきりとした性格で、思った事はズバッと口にする。お酒が強く、同窓会の時も最後まで毅然(きぜん)と飲んでいた。

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