如月真琴

文字数 2,111文字

ここで如月真琴さんが執筆していく!他の人は落書き禁止だよ!

薄暗い校舎の中で目を覚ます――。

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あら……ここは……見知らぬ校舎、ですわね。

ここがダンゲロスマッチのために用意された会場……ということですか?

辺りを見回し、他に人影が無いか確かめる。

――誰も居ない。

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数日前、我が家のポストに投函されていた赤い文書。

それは――ダンゲロスマッチへの誘いだった。

【魔人を殺せば100万円!!拒否権はありません!!】

そうとだけ書かれたレターは、私を不思議な狂乱へと導いた。

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数日後、会場の書かれた文書が送られてきた。

そこに向かった私は女の人から事細かくルール説明を聞き、

突然意識を失い――ここに居るのだ。

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ここに居る魔人の方を殺せばいいのかしら……。

でも、私、戦えるものなんて――。

右手に握らされていたもの――

それは、鋭利な銀の輝きを持った得物だった。

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うーん……ここは一体……。
あら。誰か居るみたい
人影を見つけたのと、私が動き出したのは同時だった。

ためらうことは何も無い――ナイフの刃を突き出し、一突く!

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う、うわ、なんだこれ……なんだよこれ!?
どうやら、勝負あったみたいですわね。

質問します。あなたは魔人ですか?

いいえ、いずれにせよ、あなたは男の人なので生かしませんが。

お腹に突き刺さったナイフを見つめながら、呆然と立ち竦む彼。

――どうやら私の声が聞こえていないようだ。

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あぁ……血が……血が……誰か、止めてくれ……!
もう一度聞きます。あなたは魔人ですか?
ま、魔人って何だよ!!僕はそんなもの知らない!!
そうですか。では私はこれで。
どうやら彼は魔人ではなかったようだ。

せっかくスムーズに終わったかと思ったのに、とんだ肩透かしだった。

私は彼から背を向け、その場を後に――

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れ――?
気がつくと、私は貧血の発作を起こしていた――。

視界が白く覆われ、立ちくらみでその場を動くことが出来ない。


彼に刺さっていたはずのナイフは、彼が握っていた。

それを一突き、やり返された。

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待てって……言ってんだろ……!

この状況が何なのか、それを説明しろっつーの……!

立場が逆転する。

やはり私は何も言い返すことが出来ず、

ただ流れていく赤い赤い血をずっと見つめていた。


屈辱だ――こんな男に殺されるなんて。

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みなさーん、来月に迫った音楽会の練習は進んでいますかー?
次に目を覚ましたとき、そこは喧騒に包まれた音楽室だった。

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教室には見慣れたクラスメイトが居る。

十六名中、十一名が女子で構成された私のためのクラス。

それもそのはず、本来居るはずの男子5名は自主退学してしまったのだから。

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黒板の前には音楽の先生が居た。

不思議なオーラに包まれた彼女は、学校中でそこそこ人気の先生だ。

その横に――アイツが居た。

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今日は皆さんのやる気を引き出すために、研修生を連れてきました。

ユーフォニアム奏者、音坂 琥珀ちゃんです!

も、もう……!先生ってば、僕はもう子供じゃないんですよ……!

ど、どうも初めまして。大学生の音坂琥珀です。

こう見えて、ユーフォニアムのコンクールで金賞を取ったこともあるんです。

教室から黄色い声援が上がる。

――最悪だ。どういうわけか、私はとんでもない悪夢を見ているらしい。

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すぐに殺るはずだった。

すぐに帰るはずだった。

100万円を手にするのは私のはずだった。

それが、このざまだ――。

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は、はは――。
両手を何度も開いてみる。

そこには何の得物も無かった。

肝心なときにかぎって、何も無い。

肝心なときにかぎって、殺せないなんて。

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それでは、琥珀ちゃんに吹いていただきましょう。

曲はフィリップス・スパークの『パントマイム』です!

あとで感想文を提出してもらいますからね!ちゃんと聞くように!!

そして、何も出来ない私の耳に、彼のユーフォニアムが流れてきた。

――なんて優しい音色だろう。なんて殺る気の感じられない――

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あれ。私は何か大事なことを忘れていたような――?
私は昔、彼と会っていたような気がする。

それはそう――まだ小学生だった頃か。

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もしかして……お兄ちゃん?
懐かしい音色――そのユーフォニアムを、私は聞いたことがあった。

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ねぇねぇお兄ちゃん!そのおっきな楽器、なんて言うの?
あぁ……これかい? これはユーフォニアムといって――。
はぁ……はぁ……一体なんなんだよここは……!
目を覚まして、ようやく人影を見つけたと思ったら、

今度はその少女がいきなり襲い掛かってきた――。

本当に、一体なんだったんだ……。

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僕は醜いやつだ。

僕は鈍いやつだ。

僕は奏者に向いていない。

僕は――。

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あなたは、このダンゲロスマッチに勝利したのです――。
おめでとうございます!あなたは100万円を獲得しました!
見知らぬ女性が現れて、僕に何か言っている――。

何も聞こえない。何も理解できない。

僕は人殺しだ。何も受け取る資格なんてない。

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腕の中で眠る少女が、最後に幸せそうに微笑んだ。

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えへへっ…お兄ちゃん……♪
僕は彼女の腹の中から慎重にナイフを引き抜くと、

それを一息に、目の前の女性に振りかざした――ッ!

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私に勝とうなんて百年早いんですよっ……琥珀ちゃん♪
もはやチャレンジャーは誰も残っていない。

――こうして今宵も、ダンゲロスマッチは幕を閉じる。

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おしまい!

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登場人物紹介

○両性院 女々(りょうせいいん めめ)

性別:女


魔人と非魔人の間に生まれた女の子。現在14歳。

父は自由に性転換できるチンパイという能力を持っていたが、

ある日を境に能力を失い性転換できなくなる。よりにもよって女性のままで。

彼に惚れていた幼馴染(女々の母)はそれでも父のことを慕いつづけ、

同性婚を否定されなくなり女同士でも子供が出来る能力を獲得。魔人になる。

能力を失った父(♀)と能力を獲得した母(♀)の間に生まれた子供、それが女々である。


S区の公立学校に通う中学2年生。

見た目こそ至って真面目な中学生だが、

心の中では「この世に男なんて要らないわ」と思っている隠れ過激派。

この世から男子が消え、女の子同士の恋愛が当たり前になる日を望んでいる。


能力名:女性専用社会(レディース・ワールド)

対象が男の場合のみ、

激しい自己嫌悪を植え付け自信を喪失させる能力。

コンプレックスが出来たり被害妄想が止まらなくなり、

相手は社会からロストする。

ただし年上には効き目が薄く、

女々の望んだ世界は簡単に実現しそうにない。

クラスメイトの男子には効果絶大で、

既に5人を不登校にさせた実績を持つ。


戦う動機:目障りな男子を一人残らず社会から追放させるため。



関連キャラ:両性院男女

作者:如月真琴

音坂 琥珀(おとさか こはく)

性別:男

年齢:18歳

職業:大学生・吹奏楽部員


特徴:気の弱い男子大学生。友達が少ない。授業にもまともに出ている優秀な生徒。彼が所属している吹奏楽部は、全国大会へ進む強豪大学。そんな彼には魔人の力が目覚めていたが、当の本人は気づいていない。魔人の力が目覚めてから気が弱くなったというが、本当の事を語らない。


能力:夜明けの童心

彼の奏でるユーフォニアムから出る音を聞いたものは精神年齢が退化する能力。急に部員が幼児化したこともあるらしい。聞くものの心を揺さぶる力もあり、開けない夜も開けさせてしまったりしたこともある。台風も吹き飛ばした事があり、学校から批判を被った事もある。


殺意の理由:特になし。


作成者:鈴鹿歌音

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