あったり

エピソード文字数 659文字

あったり

洗い髪濡れたまま、サンダルで歩く線路沿い。
生温い風が心地よく。

フェンス越し、向こう側で走り抜けた電車。
昼下がりに仰ぐ薄い月。

外はまだ明るいというのに風呂上り。
冷蔵庫を開けて気づく買い忘れ。
散歩へ繰り出すには良い理由になりました。

買い物袋をぶら下げて、あなたのことを考えてました。
終わる予定はありませんが、続く保証もないのです。

生温い幸せが続いています、ふたり。
過去には笑えない荷物をぶら下げて、何気ないふりをして暮らしています。

笑いあったり、黙りあったり、泣きあったり、怒りあったり。
平坦な日々と思っていましたが、やけに愛しい毎日です。

見慣れた洗濯物は風にただ揺れています。
あなたが待つ家からカレーの匂いがしました。
気づけば濡れた髪は乾いていました。

傘電球の下でグラスを傾け、乾杯したならお酒を吞むのです。
懐かしむこともたまには良いね。
明日のこと話すのも約束みたいで良いね。

打ち明け話はやけに苦手なのです。
言葉足らずにも、どうにか解り合っていると思えるのです。

生温い幸せが続いています、今も尚。
未来のことは話し合わずとも、当たり前なふりして暮らしています。

気遣いあったり、吞みあったり、嫉妬しあったり、傷を舐めあったり。
単調に過ぎ行く訳でもなさそうです。でもそれがゆえの幸せな日々です。

灯りを落とした傘電球の下。向かい合って眼をつむるのです。余計なことは考えないように、ふたりして足並み揃えて眠るのです。

ただただ、続きますように。
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