第1話 エルサレムから世界へ
文字数 1,067文字
ユダよ、エルサレムに向かうためのロバを用意しなさい。
わかりました先生。（相変わらずマイペースなお方だ。王としての自覚があるのか……まったく）
皆の者よ！ これより我らはエルサレムをローマより奪還する！
全員進軍！
我に続け！
せ、先生？ 先生そんなこと言うキャラじゃないでしょ？
ユダよ。朱槍を持て！
う、うおおおおおおおおおおおおお！！
その頃、エルサレム城内にてー
だ、ダメだ。二日酔いで動けない……。
先生！ ローマ兵の動きが著しく鈍いです！ これは好機です！
前日までにエルサレム中の水瓶をすべてぶどう酒に換えておいた。
……まさかの伏線回収きたああああああああああああ！！！！
ダビデの子にホザナ！ 王の王！ ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ！！！
これより直ちに北上して、ローマへと逆侵攻する！
先生！ それはよろしいのですが、兵糧はどうするのですか！？
いくら士気が高くてもこれだけの大軍では食料が持ちません！
ここに５つのパンと２匹の魚があるではないか。
はっ、まさかあの奇跡も、よもやよもやの伏線だったのかああああああああ！！！
２日後、ローマの首都にて。
ティベリウス陛下！ ユダヤの地にて大規模な反乱が発生！
兵数は膨らみその数は４万を超えています！
望むところだ。私が討って出よう。
ティベリウス率いるローマ軍１０万と、イエス率いる解放軍４万は、イッソスの地にて、
ピロナス川を挟んで相対した。
先生、ここはあえて全員で川の上を歩いて渡り、ローマ軍の虚を突くのが上策かと思われますが。
ユダよ。デナリ銀貨を持っているか？
は、はい。
神の物は神に。カエサルのものはカエサルに。
……全軍よ！ 王の声を聴け！ 神のものは神に！ カエサルのものはカエサルに！
神のものは神に！ カエサルのものはカエサルに！ ウオオオオオオオオオオ！！！
ティベリウス陛下！ 反乱軍の士気が大幅に高まっています！
うろたえるな！ 数ではこちらのほうが上だ！ 確実にすりつぶせ！
イエスはデナリ銀貨をローマ軍の中央へと向ける。
ゴッド・レールガン！
デナリ銀貨は、光の弓矢となり、ローマ軍の中央を切り裂き、ティベリウスの心臓を貫通した。
ティベリウスはその衝撃でローマ軍の最後方まで吹き飛ばされた。
バ、バカなあああああああああああああああ！！！？
ダビデの子、ソロモンの子にホサナ！
主の名において来たりたる王に栄光と祝福を！
……。
はっ、夢か。俺としたことが甘い夢を見ていたようだ……。
ユダは自分の腰元にある数十枚の銀貨が入った袋を確認する。
これも夢ならば良かったのにな……。
イエスとユダ
ー終幕ー
